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JALがSNS分析にBIツールを導入、クラウドにこだわった理由とは?

6/29(木) 9:21配信

ITmedia エンタープライズ

 ローソンやシャープ、良品計画のような大企業から、中小企業に至るまで、今や多くの企業がSNSアカウントを運用している。その目的は、企業(商品)ブランドの認知向上から販売促進、顧客ニーズの収集などさまざまだ。

【JALのInstagramページ】

 航空会社大手の日本航空(JAL)も、ソーシャルメディア展開に注力している企業の1つだ。FacebookやTwitterはもちろんのこと、YouTubeやGoogle+、LINE、Instagramを通じて、社員紹介や航空機写真、旅行情報といったコンテンツを提供している。

 認知度や好感度といったエンゲージメントを数値化し、高めていくにはどうすればいいか。日々そのようなことを考えながら業務を遂行し、計測するデータが増えた結果、徐々にレポート作成の負荷が高まっていったという。

●複数のチャネルをまたいだ分析が困難に

 JALではもともと、ソーシャルリスニングツールを利用してデータを取得したり、各SNSのインサイト分析ツールを使ったりと、さまざまなツールを使い分けていた。また、定型データを扱うような決まった機能しか活用できていない点も改善の余地があると感じていたと、JALの山名さんは話す。

 「自社が投稿したコンテンツだけではなく、今、世界中でどれだけの人が“JAL”について言及しているのか、お客さまがJALにどのようなサービスを期待しているのかといったことも見ています。1つのコンテンツや施策について、発信と受信、双方をトータルで効率的に分析できるツールが必要だと感じていました」(JAL コーポレートブランド推進部 Webコミュニケーショングループ氏 山名敏雄さん)

 そうして山名さんが新たな分析ツールを探し始めたのが、2016年秋ごろのこと。選定にあたっては、クラウド型であること、データ連携がしやすいこと、そして利用データ量に対する制限が厳しくなく、柔軟に対応できることを重視したという。

 「社内のコンピューティングリソースを使うとなると、準備や調整に時間がかかるため3カ月から半年くらいしないと使えない可能性もありました。個人情報が含まれているわけでもないので、『クラウドでサクッと使える』ものがいいかなと。実際に利用し始めると、新たなニーズが出てくるものなので、取り扱えるデータ量は多い方が良かったのです」(山名さん)

 各種セミナーなどで製品を調査し、マーケティングオートメーションツールも含めた7種類を比較検討。実データを使ったPoC(Proof of Concept)も行ったが、最終的には「Domo」を導入することに決めた。

●Domoを選んだ理由とは?

 Domoを採用したのは、求めていた要件に合致したことに加え、構築担当者にSNS分析の知見があったためだという。カスタマイズもしやすく、アカウント数による明確な料金体系で、利用可能なデータ量(レコード数)が無制限であったことも後押しした。

 そして、2017年3月からシステム構築をスタート。ブランドマーケティングに関わるデータを統合し、主要機能については約2カ月で整備、利用を開始した。現在も細かな機能や追加で実装したくなった機能を作っているところだという。Domoはまだ使い始めたばかりではあるものの、「確実に効果は出ている」と山名さん。特に分析のスピードは大きく変わったそうだ。

 「日々行っている投稿に対する反応がすぐに見られるようになりました。今までは月次でしか進捗(しんちょく)を確認できていなかったので、効果の見えにくい、小さなキャンペーンなどについては、数字を追えていないものもありました。今では複数のSNSをまたいで分析できるため、全体最適を意識した施策も打てるようになっています」(山名さん)

 現在は、複数のSNSで共通して使えるKPIの設定を目指しており、Domoに対する社内からの問い合わせも増えている。今の課題は利用者の増加。Domoを使いこなせるユーザーを増やし、企業Webサイトでユーザーの行動がどう変化したか、あるいは各種メディアに情報が掲載された結果どんな影響があったか、といったデータについても分析したいという。

●ITとビジネス、両方経験したからできること

 今でこそコーポレートブランド推進部に所属している山名さんだが、この部署に来たのは約1年前。その前は10年ほど、業務部門とIT部門の間に立ってプロジェクトを進めるJAL本体やグループ会社のIT企画部門に所属していた。IT企画部門から事業部門に異動したときは、SNSマーケティングの進化に驚き「まるで“浦島太郎”のような状態だった」という。

 しかし、プロジェクトマネジャーやECサイトの運営にも携わったことがあり、最新技術を勉強するなかで、過去の経験がDomoの選定に生きたと話す。

 「ITの知識がないまま導入を進めようとすると、ツールの仕組みやコストなどが“ブラックボックス”になってしまう部分も出てくると思います。私の場合、ツールに関するROIやSQLの知識、そしてBIツールそのものに対する理解があったと思います」(山名さん)

 何度も部署が変わりながらも、ビジネスとITを結ぶ立場にあり続ける山名さん。今後は部署を超えてデータを共有して生かす構想もある。IT部門と事業部門の両方を経験した人材が活躍している好例といえるだろう。