ここから本文です

「VRの世界を中小企業にも届ける」という思いは現実に――プロノハーツ

6/29(木) 14:37配信

MONOist

 プロノハーツは「第25回 3D&バーチャルリアリティ展(IVR2017)」(2017年6月21~23日、東京ビッグサイト)において、同社が扱う製造業向けVRシステム2種を展示するとともに、導入事例についても公開した。

【その他の画像】

 同社がブース正面で展示したのが、フランスMiddleVRが開発する「Improov3」で、プロノハーツが2017年4月から販売開始したものだ。

 Improov3は複数の人数でVR空間を共有しながら、同じ3Dデータをのぞいて、3Dデータの部品を動かしたり、断面表示したり、手描きのマークアップを加えたり、寸法を付加したりするなどが可能だ。画面には、ユーザーのアバターの首が表示されている。アバターはHMDを装着したユーザーの頭部の動きと連動している。同じくHMDを装着している人同士が顔を合わせて会話をすると、互いのアバター同士も顔を合わせている。

 リモコンを操作しながら、VR空間の中にある方向などを制御するコントローラーや、細長いタクト状のGUIを用いて、3Dデータの部品をつかんだり、手描きの線を加えたりする。それらの操作には少々コツがいるが、とにかく使って、慣れしまえば問題ないようだ。

●中小企業に届いた、PronoDR

 プロノハーツは中小製造業向け製造業VRシステム「pronoDR」を自社開発している。こちらは大規模3Dデータ(部品数万点レベル)をVRで展開したい場合や、3Dデータを自由に眺めまわしたい、あるいはその中を動き回りたい時に適しているシステムだ。

 今回は、「国内企業による廉価VRシステムの事例」ということで2社の事例を動画で披露した。これまで、産業系のVR事例については、国内より海外のものが目立ち、従来の高級システムによるものが多かった。

 同社は2014年から、pronoDRの原型である、製造業に特化した廉価なVRシステムを販売している(関連記事:VRの世界を中小企業にも届ける! 「3次元データの中を自由に動き回ろう」)。その後アプリケーション開発の部分で、VRコンテンツ開発など手掛けるアップフロンティアがパートナーとなって機能強化し、「pronoDR」と名付けてリニューアルした。HMDの「HTC Vive」や市販のゲームコントローラーなど廉価な仕組みを採用し、中小企業でも手が届く価格帯で提供してきた。

 HMDについて、提供開始当初は「Oculus Rift」を採用していたが、国内ユーザーの利用状況によりマッチしたHTC Viveに変更したとのことだ。「眼鏡が入らないんだよ」(プロノハーツ 代表取締役 藤森匡康氏)。

 提供開始から約3年、販売については順調で、公開可能なユーザー事例が早くも出てきたということだ。

 会場で紹介した1社が、石川県の中小企業で、産業車両や農業機械などの運転席(キャビン)の設計製造に携わるサンキだ。同社が開発するフォークリフトのキャビンの設計で活躍しているという。3D CADのデータは立体とはいえ、2Dの画面で見ているにすぎない。3D CADのデータを詳細に眺めても、肉眼で実物を見るようにとは到底いかず、死角が存在してしまう。例えば、キャビンに乗車した作業者がキャビン内部から外を見るとき、ピラー(柱)やサイドミラーが邪魔にならないかどうかといったことや、その空間内での動きが想定しづらくなるという。従来は、サイドミラーの最適な設置位置など、実機を用いて検証するしかなかったとのことだ。

 サンキの代表取締役 森大蔵氏は「そこにVRを導入し、キャビン内部の様子を仮想的に体験ができるようになったことで、CADデータを見ながら角度や長さなどの数値であれこれ指示されるよりも、状況がはるかに把握しやすくなった」と語る。またpronoDRで見た感覚は、実機を作ってから乗ってみた感覚と非常に一致していたということだ。

 「中小企業こそ、率先して最新の技術を使って、大企業を出し抜いていかないと生き残れない」(森氏)。

 同システムは、中小企業だけではなく大企業からの問い合せや導入例もあるという。2社目は日鉄住金テックスエンジ、つまり大企業による事例だ。同社では大規模な3DデータをVR化し、入り組んだ産業設備の整備作業において、工具や手がきちんと入るかどうかといった作業性の検討に利用しているとのこと。現場についてから問題が発生して作業が行えない、修正作業をするといった事態を未然に防ぐことが可能だという。またCADの中だけでは洗い出せなかった問題点を簡単に発見できるようになったとのことだ。

最終更新:6/29(木) 14:37
MONOist