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アングル:香港株式市場、物言う投資家があぶり出した「宿病」

6/29(木) 14:00配信

ロイター

[香港 28日 ロイター] - 物言う投資家のデービッド・ウェブ氏が香港株式市場に関して「謎のネットワーク:持つべきでない50銘柄」と題したリポートを公表したのが6週間前だった。そしてリポートに名前が記された銘柄の大半が27日に突然急落し、香港の小型株にずっとつきまとっていたさまざまな問題点が改めて浮き彫りになった。

かつて香港証券取引所(HKEX)の取締役会メンバーだったウェブ氏はリポートで、主板(メーンボード)と創業板(GEM)という2つの取引所の双方に上場している企業同士の複雑な株式持ち合いの構図をつまびらかにしている。さらに規制当局がこれまで心配し、ウェブ氏が指摘したのは、株式保有の極端な集中、非現実的なバリュエーション、企業と上場証券会社のややこしい関係性などだった。

また香港政府と規制当局が日増しに懸念を強めているのは、ほとんどが香港上場の中国本土企業が起こす不祥事の続発で、これが香港の金融センターとしての評判を落としている事態だ。

ウェブ氏は28日、ロイターに対して企業の年次報告や開示情報を独自に調査した結果、「謎のネットワーク」にたどりついたと説明。「私はこのネットワークが形成され始めた数年前に話題に取り上げた。足元で軒並み株価が急落したのは、これらの銘柄が極めて密接につながっていることの表れだ」と語った。

さらにウェブ氏は、リポートでは株式の持ち合いしか記さなかったが、対象企業の間で共通の取締役が名を連ねているケースも多いとした上で、ネットワーク構築の目的は「投資家を欺き、資金を不正に流用することで、その一部は株価操作に関連している」とみている。

<機能しない規制>

HKEXの取締役を2008年に辞任してから香港市場への批判を続けているウェブ氏は、27日の相場急落の直接的なきっかけは分からないと話す。

同氏は「私は推測しかできないが、証拠金が売りの引き金になった可能性がある。あるいは証券会社がこれらの銘柄の投資への資金提供をやめるよう命じられたのかもしれない。ネットワークを運営している人たちが売り抜けようと決めたということもあり得る」と述べた。

いずれにしても、今の香港市場は規制が機能しておらず、HKEXが問題が生じるのを許容しており、規制機関である香港証券先物取引委員会(SFC)も事態悪化に歯止めをかけようとしていない、と同氏は批判した。

SFCはウェブ氏が言及したネットワークに属する企業について調査しているかどうかコメントを避けた。ただ声明を発表し、27日に大きく値下がりした銘柄は、本来出来高が低調で浮動株数が少なく、保有が一部に集中し、さまざまな企業や証券会社と関係を持っているという特徴があるとの見方を示した。

<求められる改革>

ウェブ氏は、第3の取引所を設立するという最近のHKEXの提案に反対を表明するとともに、現在の2つの取引所を統合して、両方ともSFCの規制対象にするべきだと主張する。

同氏は、投資家が企業経営陣に責任を問えるように香港でも集団訴訟を可能にする法整備が必要であるほか、企業に四半期ベースの業績公表を強制すること、他の企業の株式保有に制限を設けることなども提言している。

これまで同氏はいわば体制側の立場で市場改革に尽力してきたが、いつまでたっても効果が見えないことに業を煮やし、昨年になって物言う投資家して振る舞うようになった。

実際、香港が英国から中国に返還されて以来、株式市場は主に中国本土企業の上場を通じて発展を続けてきたものの、投資家の相対的な評価はそれほど高くない。ハンセン指数銘柄の株価収益率(PER)は14倍で、米国株の23倍を下回っている。

(Michelle Price記者)

最終更新:7/17(月) 13:26
ロイター