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毎月分配は悪者なのか?

6/29(木) 10:20配信

投信1

まともなファンドが少ない?

運用業界内では、本年4月7日に金融庁の森長官が行った証券アナリスト協会での講演、およびその直前に金融庁から発表された積立NISA対象ファンドの要件について、色々な方面から様々な意見が出るなど、ホットな話題となっています。

筆者は直接講演に参加しなかったので本旨については測りかねる面はあるものの、センセーショナルに受け止められているポイントは次の点だと理解しています。

「資産形成に適した積立NISAの要件を充足する”まともな”ファンドが公募ファンドの1%未満しかない」
「複利効果のない毎月分配型は顧客本位でない」
「販売手数料稼ぎのために顧客本位でない売りやすい投信を販売する姿勢」

色々な文脈からの補足説明や前提が欠落してインパクトのある部分のみ伝わっているのかもしれませんが、上記を端的につなげると「毎月分配投信は顧客本位でなく手数料稼ぎで販社が売った。毎月分配型が多くを占める投信業界の現況はまともでない」と解釈され、現実として、忖度の賜物なのか、販売会社が毎月分配型を新規採用しなくなったりラインナップから下げたりする動きが見られます。

毎月分配は顧客本位でないのか?

筆者は投信の商品企画に10年以上携わっており、手がけたヒット商品はご多分に漏れず毎月分配型という世代です。その分、ノスタルジアも含まれているのかも知れませんが、上記ロジックおよび呼応した販社の動きには業界人のコメントを見ても賛否両論が出ています。それがどこからくるのか、今回自分なりに考えてみました。

 (1) 毎月分配がなぜ流行ったか

外債毎月分配型の隆盛に火をつけたのは、旧国際投信のグローバルソブリンでした。その当時よく言われていたのは、「年金の足し」「孫の小遣い」「元本が減ってもいずれは相続財産として子孫に渡る」です。

では、元本が目減りすることを認識していながらこぞって投資したのはなぜかというと、「バブル崩壊後30年近くにわたる低金利の中、預金を取り崩すよりアップサイドが取れるし、銀行に行く手間がかからない」「年金受給資格は先に延びるばかり」という自己防衛でしょう。

 (2) 投信の効用は1つではない

上記の使い方を見ると、要は資産形成のツールでなく原資産からのキャッシュフローの組み替えツールとして投信を捉えているのでしょう。筆者が以前「投信信託の7つの効用」(注)
でご紹介した効用のうち、キャッシュフロー組み替えの効用が資産形成よりも前面に出ているということです。注:『いまさら聞けない! 「投資信託の効用」7つのポイント』もご参照ください。

複利効果がないのは資産形成ツールとしては無分配よりも不向きということであり、”まともでない”ということとは別の論点ではないでしょうか。また、分配金再投資コースを選べば複利効果は得られます。

 (3) 顧客本位でなく、販売手数料稼ぎなのか? 

同じファンドで毎月分配型と1年決算型の両方がある場合、マザーファンドや投資対象の外国投信を共有していれば運用内容は同じです。かつ、販社が同じなら販売手数料は両方同じはずです。それでもほとんどのファンドで毎月分配型が圧倒的に残高が多いのが実状です。

販売員がこのファンドへの投資を考えている人に両方すすめて選んでもらった場合、販売手数料稼ぎとは言えず、顧客志向に沿った結果、毎月分配を選んだということではないでしょうか。顧客本位でないのに販売会社が押し込んで、ここまで売れ筋が偏るほど投資家は自分の資産について無関心ではないでしょう。

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最終更新:6/29(木) 10:20
投信1