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日赤長崎原爆病院 カルテ50年分電子化へ 被爆者は延べ766万人分

6/29(木) 10:20配信

長崎新聞

 日赤長崎原爆病院(長崎市茂里町)は本年度、1958年の開院から2009年の電子カルテ導入まで約50年間の全患者、延べ約1527万人分を保管している紙のカルテの電子化、データベース構築に着手する。厚生労働省の事業を受託する形で進め、同省は本年度予算として1千万円を計上している。

 紙のカルテのうち被爆者は延べ約766万人分。全体では同約800万人分を超え、被爆者のまとまった診療記録として国内最大規模とみられる。作業は膨大で完了まで10年程度を見込む難事業だが、放射線の健康影響などに関する調査研究への活用が期待される。

 長崎原爆病院は、被爆者医療を専門に長崎市が開設。1969年に日赤が移管を受けた。カルテ保存の法定期間は5年間だが、開院以来、調査研究への活用を見越して入院、外来の全患者分を保存。紙カルテは本館地下に保管してきた。一部は製本済みで約2万7千冊、未製本分は約3万9千冊分に相当する。

 しかし、本館は隣接地に建設中の新しい本館の完成後、来年5月から解体予定。保管スペースがなくなるため、病院側が厚労省に電子化を相談。被爆者の臨床記録の保管・活用に関する調査研究を目的に国が後押しすることになった。

 同病院は、放射線の影響から長期間を経て発症につながる「晩発性障害」の研究を進めており、最終的には保存カルテを基に、70年以降60年間にわたる調査を行って全体像解明を目指す方針。

 平野明喜院長は「放射線が人体に与える影響は疫学調査でしか確認できない。大きなデータから得られる分析結果は信頼性が高く、対策に活用できる可能性がある」と話す。

長崎新聞社

最終更新:6/29(木) 10:20
長崎新聞