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唐津の人形浄瑠璃義太夫・竹本さん、ロンドン公演に同行 鳥越文蔵氏とドナルド・キーン氏が橋渡し 佐賀

6/29(木) 9:11配信

佐賀新聞

「演劇は人の心打つ」継承に決意

 6月上旬、ロンドン・大英図書館での古浄瑠璃上演に、唐津市の人形浄瑠璃義太夫竹本鳴子(なるこ)さん(68)が参加した。古典芸能研究の第一人者で竹本さんの活動を支援する早稲田大名誉教授鳥越文蔵さん(89)から声が掛かり渡英。「言葉や表現スタイルの違いを超えて人の心を打つ演劇の力」を再認識する旅となった。

 上演されたのは新潟県長岡市の寺に安置している日本最古の即身仏にまつわる「弘知法印御伝記(こうちほういんごでんき)」。台本は300年前の元禄時代に海外に渡り、日本に残っていないが、鳥越さんが約50年前、大英図書館に1冊保管されているのを見つけた。

 その由縁で鳥越さんと、友人の米コロンビア大名誉教授ドナルド・キーンさん(94)が橋渡ししロンドン公演が実現。新潟・佐渡を拠点にする猿八座が6月2、3日、舞台に立った。

 自らの遊びがもとで妻が殺され、息子たちと別れた男が出家し、即身仏になるという物語で、人形を操りながら筋立てを英語の字幕で紹介。竹本さんは直接の出番はないものの、日本の古典芸能がどう受け入れられるか始終を見守った。

 250人収容のホールは満員となり、幕が下りるとカーテンコールが続いた。前日、隣接する劇場で「オペラ座の怪人」を見た竹本さんは「洋の東西を問わず、感動を呼び起こす演劇の素晴らしさを実感した」と話し、「(人形浄瑠璃は)古くてはやらない芸能だけど、とにかく残さないといけないという鳥越先生の言葉を改めて胸に刻んだ」と感動をかみ締める。

 竹本さんは近松門左衛門ゆかりの近松寺(唐津市西寺町)近くに稽古場を設けて30年余。今年から市内で月例公演を開く。現在、演目は「傾城阿波鳴門(けいせいあわのなると)」など2本で、レパートリーを増やすため鳥越さん寄贈の人形3体が間もなく届く。10月には鳥越さんを招いて披露公演の予定で、「唐津の地で人形浄瑠璃の灯をともし続けたい」と決意を新たにする。

最終更新:6/29(木) 9:11
佐賀新聞