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海外の日本茶伝道師 育ってます ブーム過熱 外国人研修生が増加 奈良・京都

6/29(木) 7:02配信

日本農業新聞

 海外の日本茶ブームを受け、国内の茶園で研修する外国人が増えている。中には競争倍率が10倍の人気茶園もある。多くはビザが不要の3カ月以内の短期滞在。日本で得た知識や経験を生かし、教育機関の講師や専門店の経営者などを目指す。茶園側は単なる労働力ではなく、日本茶の素晴らしさを海外に伝えるチャンスと捉える。

欧州中心 キャリア志向

 「日本茶の本当のおいしさを伝えたい」。奈良県山添村で茶園を営む大和園代表の奥中直樹さん(45)は研修生を迎えた理由をこう語る。

 きっかけは、海外で日本茶をPRした際、抹茶に牛乳や砂糖、花や果実の香りなどを加えて飲む習慣にショックを受けたからだ。「これでは農家の努力が報われない。伝道師を育成しなければ」。奥中さんはホームページで募り、昨年9月から受け入れに踏み切った。

 日本の緑茶は主に蒸し製の製法で作られ、緑色が鮮やかで茶本来のうま味が楽しめる。世界で流通する緑茶は中国産が主流で、香料を添加した茶が多いのが実情だ。

 これまでフランス、オランダ、スイスから5人を迎えた。研修は刈り取った茶葉を工場に運んだり、被覆資材を巻き取るなど実践作業が中心。社員との意思疎通は原則、身ぶり手ぶりで、作業の合間には日本茶が振る舞われる。

 フランスの大学院生、サラ・ゴチエさん(21)は3カ月の研修期間中に、日本茶のおいしさに衝撃を受けた一人だ。「品質を重視する日本茶に興味が湧いた。日本食に関する職業に就きたい」と目を輝かせる。

 4人の募集定員に40人の応募が殺到する茶園がある。京都府和束町で日本茶を製造販売する京都おぶぶ茶苑だ。2012年の受け入れ開始から、約20カ国の70人を招いた。欧米からの研修生が中心で、この経験を生かしキャリアアップを目指す若者が多い。3カ月間、茶の製造や販売、茶畑ツアーなどに携わる。

 ドイツ人の大学生、パスカル・タイチャイドさん(21)は将来、家業の茶専門店を継ぐため志願した。幼い頃から茶に触れ知識に自信はあったが、「茶を売る際、実体験に基づき語りたかった。一杯の茶を作る過程を知ることができた。一生の財産だ」と満足げだ。

 英国人のケイト・ポパムさん(32)は茶の教育機関「UK ティーアカデミー」の職員。「日本茶の教師としてのキャリアをスタートさせたい」と意気込む。

 受け入れは利益にもつながっている。巣立った研修生が米国や英国、ドイツ、スペインの4カ国で販売に協力するからだ。輸出は当初(12年)、売り上げ全体の3%だったが、16年には20%と、4年で6倍以上になった。7月には要望に応えて茶の学校も開く。同茶苑の松本靖治副代表は「ここを外国人研修生の聖地にし、この仕組みを全国に広めたい」と意気込む。

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最終更新:6/29(木) 7:02
日本農業新聞