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【ウルトラセブンを創った人たち】(9)「サンダーバード」から影響

6/29(木) 15:00配信

スポーツ報知

 脚本家陣のこん身のシナリオと共に、放送から50年を経た今でも、本作を色あせないものにしている要因が、斬新なメカニックだ。ウルトラ警備隊に配備されているウルトラホーク1号、2号、3号、専用車両のポインター号、宇宙ステーションV3、そして、富士山麓二子山周辺の地下に築かれた、地球防衛軍極東基地…CGなどがない時代に手作りで21世紀にも残る数々の名シーンを作り上げてきた。

 これらメカは英国のSF作品である「サンダーバード」の影響を強く受けていた。セブンの特殊美術のチーフデザイナーを務めていた池谷仙克(のりよし)は、こう振り返る。

 「円谷英二さんが、実際に『サンダーバード』の撮影現場を見てきたんです。それで、私たちにも『作品を見てみろ』と言われた。前作のウルトラマンは怪獣と戦いますから、大きなスペースを使って特撮シーンを撮っていたんですが、サンダーバードはそれこそ4畳半くらいの部屋で撮影していたらしい。『お前たちはぜいたくだ。こんなでっかい部屋を使って…』みたいなことを言われましたね。でも、サンダーバードのメカに関しては『しっかり作り込んでいるなあ』とは思いましたが、かといってリアルか、というと、そこそこオモチャっぽい。それよりもいいものを作ってやろう、という気持ちにはなりました。ホークが基地から発進するシーンなどは、『サンダーバード』の影響が明確に出ていると思いますよ」

 メカ全般のデザインは、「ウルトラマン」から引き続き、成田亨が担当した。「ウルトラマン」に登場した「科学特捜隊」のジェットビートルに比べると、かなり洗練された印象を受ける。ホーク1号がα号、β号、γ号の3機に分離できる―というのも、斬新なものだった。

 「これはね、玩具メーカーの存在が大きかったんじゃないか、と思うんです。オモチャが売れるようなものにしてほしい…みたいなね。この頃からメーカーが制作段階で意見が出せるようになってきたんです」(池谷)。=文中敬称略

 ◆池谷 仙克(いけや・のりよし) 1940年、東京都生まれ。お茶の水美術学院、桑沢デザイン研究所、武蔵野美術大学で学んだ後、円谷プロ作品に参加。「ウルトラマン」の特殊美術助手を経て、「セブン」の特殊美術でチーフデザイナーデビュー。その後、実相寺昭雄らとコダイグループを創立。実相寺監督のATG作品を中心に一般映画の美術を手掛けた。「写楽」(95年)、「瀬戸内ムーンライトセレナーデ」(97年)で日本アカデミー賞最優秀美術賞を受賞。16年10月25日、76歳で死去。

最終更新:6/29(木) 15:00
スポーツ報知