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外国人旅行者向け「医療」支援の現状はどうなっているのか? 関係省庁の取り組みと今後の方針を取材した

6/29(木) 14:01配信

トラベルボイス

訪日外国人医療支援機構は、「訪日外国人の医療支援情報セミナー」を開催した。訪日外国人旅行者が急増し、今後2020年までに4,000万人の受け入れを目指すなか、医療支援の体制づくりが課題となっていることから今回初めて開催。医療関係者をはじめ旅行業界からも多くの参加者が集まった。

冒頭挨拶に立った訪日外国人医療支援機構理事長の落合慈之氏は、「訪日外国人旅行者への医療支援は、目的を持ったメディカルツーリズムとは対応が異なってくる。今後インバウンド市場が拡大していくなかで、解決すべき課題は多い」と発言。また、来賓として挨拶に立った衆議院議員の丹羽雄哉氏は、「すべての旅行者がストレスなく快適に旅行できる環境を整えていくなかで、医療サービスの充実は重要なテーマ。真の意味で『おもてなし』につながる取り組みになる」と訴えた。

東大・森村教授、受入側のコミュニケーション体制が課題

セミナーではまず東京大学大学院医学系研究科救急科学分野の森村尚登教授が「訪日外国人の救急搬送と#7119について」というテーマで講演。東大病院の現状として、2015年度に受け入れた外国人旅行者の割合は、在日外国人やメディカルツーリズムを含めた全外国人患者のうち6.2%、そのうち95%が救急対応と報告した。

そのなかで、受療にあたっての負担として、コミュニケーションの難しさが一番大きく、精神的不安の増大や肉体的披露の蓄積につながっていると指摘した。一方、受け入れ側でも外国語による情報伝達の難しさがあるという。東京都の#7119(救急相談センター)への外国語入電のうち(2015年6月~2017年6月データ)、看護師による救急相談は954件で日本人も含めた全救急相談の0.3%、医療機関案内は175件で同0.04%。割合は低いものの、人数にかかわらず病院側の業務量に大きく影響するという。

また、コミュニケーションでの課題としては、救急対応の交信は患者本人ではなく、日本語を話す第三者を介して行われる場合が多く、コミュニケーションの成否は受信者・通報者双方の通話表現能力と受信者の問診能力、通報者の観察能力に影響されるため、受信者の通話表現の工夫とプロトコールの整備ならびにその教育が「喫緊の課題」と強調した。この課題に向けて、人材育成のための「外国人患者の受入参考書」の活用に加えて、救急ボイストラ、メガホンヤクなどの最新ツールの導入も推奨した。

2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けては、ある一定の期間に住民に加えて多様な人が集中する「マスギャザリング」が発生し、通常の医療業務にも影響が出ると予想されることから、「開催中の通常の救急医療体制の質をいかに維持するか」が大きなテーマだとした。このため、主要医学会が学術連合体を形成。特に、通常医療に影響が出やすい小児、産科、精神科の円滑な連携を検討していく。また、訪日外国人に対しては、宗教、言語、生活背景の違いを考慮し、医療の際に生じる問題点を抽出し解決策を提言、#7119や受信ガイドなどの救急医療情報システムを外国人が活用できる方策を提案していく方針だとした。

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最終更新:6/29(木) 14:01
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