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ボランティアに汗流す高橋みなみの言葉重く、福島再訪で見えた現状/取材後記

6/29(木) 16:34配信

MusicVoice

 遡ること約1カ月前。福島市内の農地に元AKB48の高橋みなみ(26)の姿があった。AKB48在籍時代も東日本大震災の被災地を訪れ支援活動をおこなっていた彼女は昨年、ボランティア推進プロジェクト『RockCorps』のアンバサダーに就任、福島県相馬市でのボランティアに参加した。今年もその役を担うことになった高橋は再び県内に訪れ、一般参加者にまざってボランティアで汗を流していた。

【写真】ボランティアのようす

 ボランティア推進プロジェクト『RockCorps』は、4時間のボランティアをおこなうと、セレブレーションという音楽ライブを観覧できるチケットが渡される。高橋は今年、福島市内の農地でおこなわれた農作業ボランティアに参加。今なお風評被害に苦しむ福島の農業の現状について「自分の目で見て、手で触って、考えることが大事」と語った。

 昨年、『RockCorps』のボランティア取材で原発事故による帰宅困難者が暮らす仮設住宅を訪れた記者は、その日以来となるこの福島の地で、彼女が語ったその意味を今回の取材で深く考えさせられた。

 高橋は今回、一般参加者約50人とともに、震災後の風評被害の影響で打撃を受けた福島市の農地で、ナスの苗の植え替えや農地の草むしりなど農作業の手伝いをおこなった。風評被害について高橋は「様々な情報が飛び交っていますが自分の目で見て、手で触って、考えることが大事なのではないでしょうか。私も今日体験したことを東京の人たちに話したいと思っています」と自身の考えを述べた。

 昨年9月におこなわれた『RockCorps』ボランティア活動の取材で、記者は福島の地を訪れた。今回はその時以来、約10カ月ぶりの再来だった。去年はカナダ出身の女性シンガーソングライターのCarly Ray Jepsen(カーリー・レイ・ジェプセン)が福島市の仮設住宅で食用植物や花々の植えられたプランターを新たに木材で手作り、更にペインティングを施した。

 震災から5年経っても、未だに仮設住宅で暮らす人々の存在には驚いたが、その時は仮設住宅の入居者が悲壮感など微塵も見せず、終始にこやかにボランティア参加者とともに作業していたことが忘れられない。改めて人間の真の強さを垣間見た気がした。

 この日、ボランティア初参加者は「福島で震災があって、大変だということは分かっていたけど、なかなかボランティアをやるというところまでいかなかった」と震災から6年という歳月が経ち、『RockCorps』のようなイベントを通してやっと一歩踏み出せたという。

 ボランティアがおこなわれた農地は、福島駅から車で約20分の山中にあった。車で移動する途中にも畑や田んぼ、果樹園などの田園風景が広がり、美しい山々に囲まれた長閑な景色からは震災の面影は見て取れなかった。この日植え替えられた、ナスの苗も山中の澄んだ空気と肥沃な土地の中で元気に育っていくのだろう。

 震災後、原発事故による放射性物質飛散の影響で、54の国と地域でおこなわれていた「福島県産」の輸入規制措置だが、今年1月にはEUをはじめ様々な国が規制を緩和した。それでもなお、中国・韓国を含む7の国と地域が輸入停止を継続している。

 高橋が語ったようにインターネットや一部メディアの情報だけをうのみにして、判断してしまうという傾向は風評被害だけではなく、政治や経済、芸能情報に至るまで昨今ますます強まっている。今こういう時代だからこそ、情報だけではなく、自身の体験や人との関わりがもたらすものを、私たちはもう一度考え直していかなければならないのではないだろうか。

(取材・撮影=松尾模糊)

最終更新:6/29(木) 16:34
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