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新幹線「N700S」、デザインよりも床下に注目を

6/29(木) 10:22配信

ニュースイッチ

最先端技術が詰まっていた!

 2021年3月期に営業投入を予定する東海道新幹線の次期車両「N700S」のデザインを公開したJR東海。先頭車両前面は左右両サイドにエッジを立てた形状として、走行風を整流する効果により環境性能向上を狙う。また前照灯を拡大して照射範囲を広げ、新幹線で初めて発光ダイオード(LED)を採用した。

 普通車座席は背もたれと座面が連動して傾くリクライニング機構を採用するほか、全席にコンセントを設置する。グリーン車座席は、くるぶしを回転中心としたリクライニング機構として、長時間の快適性を高めている。

 ただデザインばかり注目されがちだが、技術も最先端。それは床下に隠されている。床下の駆動システムのコンバーター、インバーターに炭化ケイ素(SiC)素子のパワー半導体を採用し、小型・軽量化する。顔である先頭車両の形状はシミュレーションと風洞実験により、風切り音などの騒音を数%減らす。

 13年に投入した「N700A」以来の新型車両で、SiC素子は大手電機メーカー4社と共同開発した。SiC素子は発熱量が少なく、冷却機構を簡素化できるため、小型・軽量化が可能になる。

 走行中の床下の風を取り込む冷却方式との組み合わせにより、1編成当たりの駆動システムの重量は、N700系の2割減の約47トンにできる。総合技術本部技術開発部の佐藤賢司車両制御チームマネージャーは「さらに軽量化できる」と限界まで挑戦する考えだ。

 コンバーター、インバーターの小型・軽量化で、変圧器とひとまとめにするなど、床下機器の配置を現在よりコンパクトにできる。8種類ある配置パターンを4種類に集約できるため、さまざまな新幹線に適用できる標準車両が実現する。

 16両の東海道新幹線以外にも、8両や12両の新幹線にも適用できるため、海外の新幹線方式の高速鉄道に車両を売り込みやすい。

 先頭車両の形状は、N700Aに改良を加えた最終形状が既に決定。車両に沿って左右に直線の隆起を設けるなどして、空気抵抗を減らす。

 形状の決定には4年間かけた。前半の2年間は制約なしに自由に考え、後半の2年間は実際の条件を基に考えた。シミュレーションソフトを用いて形状を考案し、15年2月には模型に強風を当てる風洞実験を開始し、データを取得・分析していった。

 技術開発部の阿彦雄一高速技術チームマネージャーは「シミュレーションは手段でしかない」と説く。技術者のアイデアや工夫があってこそ、最終形状が生まれたと言える。

最終更新:6/29(木) 10:22
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