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全世界同時リリース! 主演女優&監督が語るNetflixオリジナル映画『オクジャ』

6/29(木) 18:00配信

ぴあ映画生活

『殺人の追憶』『スノーピアサー』のポン・ジュノ監督が手がけるNetflixオリジナル映画『オクジャ/okja』が本日から配信をスタートする。本作は、デデ・ガードナーとブラッド・ピットが率いる“プランB”が制作を手がけたアドベンチャー大作だが、その背後には現代社会が抱える問題や、人間と動物の複雑な関係が織り込まれている。「エンターテインメントと社会的なメッセージは分離して考えることはできない」と語るポン・ジュノ監督と、主演を務めたアン・ソヒョンに話を聞いた。

『オクジャ』写真

本作の物語は、多国籍企業ミランド・コーポレーションが世界的な食糧危機に対応するため、巨大な動物を世界各国で育成するプロジェクトを開始するところから始まる。その“実験体”のひとつは、韓国の人里離れた山で“オクジャ”と名づけられ、祖父と暮らす少女ミジャと共に育てられる。長い時が経ち、ミジャとオクジャは家族のように仲良く暮らしていたが、実験の期間が終わりを迎え、ミランドのメンバーがオクジャをニューヨークに連れ去ってしまう。ミジャは、愛する家族オクジャを守るために大冒険に出かけ、想像もしていなかった光景を目にする。

『殺人の追憶』で高い評価を受け、『グエムル-漢江の怪物-』では韓国の興行記録を塗り替えるなど、ヒット作・傑作を次々に発表してきたポン・ジュノ監督は、前作『スノーピアサー』でクリス・エヴァンスや、ティルダ・スウィントンらをキャストに迎えて英語で作品を制作し、全世界での公開を目指したが、その道のりは平坦なものではなかった。監督は「2014年の初め頃に『スノーピアサー』のPRのために日本に来ましたが、その頃はアメリカで公開するバージョンについて、配給会社と交渉を繰り返している時期でした」と振り返る。監督が編集し、最終的に完成させた『スノーピアサー』は125分の作品だが、米国の配給会社は短縮したバージョンでの公開を要求した。「交渉が長引いたので、アメリカでの公開が最も遅れました。最終的には私が編集したバージョンで公開することができましたが、結果的に公開規模が縮小されてしまいましたし、その道のりは本当に複雑なものでした」

ところが、本作を配信するNetflixは、最初から“監督が編集したバージョンを全世界で公開する”と宣言したという。「契約書にそのことがきちんと記載されていましたから、何の心配もなく、気楽に制作に取り組むことができました」。さらに本作も、ポール・ダノや、ジェイク・ギレンホール、ティルダ・スウィントン、リリー・コリンズらが出演し、名匠ダリウス・コンジが撮影を担当するなど全世界からキャスト・スタッフが集結した。「この映画は、巨大な動物オクジャと少女ミジャが主人公で、両者のコミュニケーションは言語によるものではなく、もっと直接的で、まるで魂が通じ合っているかのようです。このような関係は、全世界のどこであっても同じように受け入れられるのではないでしょうか? また、この作品は“ソウルメイトになり得る動物”と“食糧になる得る動物”の間で人間が葛藤する物語ですが、この問題も世界のどこにいても同意してもらえると思いました」

オクジャは、通常の動物よりも大きく育ち、食糧問題を解決する切り札として扱われている。しかし、共に育ってきたミジャにとってオクジャは“愛する家族”だ。野山を駆け回ってきた彼女は、韓国の都市で、ニューヨークの大通りで、オクジャを助けるために無謀な冒険を繰り広げる。「この映画の撮影で、大変ではなかったことはひとつもありませんでした」と笑顔を見せるアン・ソヒョンは、過酷なアクションにも挑んで全身全霊でミジャを演じた。「ミジャはとにかく走っているので、肉体的には大変でした。転んだり、何かにぶつかったり、落ちて転がったり……でも“走る”という動きは世界共通の言語ですよね? だから一生懸命に走りました(笑)。精神的にもハードでした。私は犬を飼っているので、オクジャのような動物たちが食糧になるシーンは、セットだとわかっていても『もし、自分の家の犬がここに連れて来られたらどうしよう?』と思って、つらかったです。でも、撮影は大変ではあったけど、同時に楽しい体験でしたし、個人的には表現したい部分をすべてお見せすることができなくて残念なぐらいです」

何が起こっても愛するオクジャのために走り続ける少女ミジャの姿は痛快で、ポン・ジュノ作品がこれまで描いてきた子ども像とは少しかけ離れているのもポイントだ。「確かに『殺人の追憶』や『グエムル…』にも子どもが登場し、彼らはいつも社会的に最も弱い存在として、強い生命力を持ってはいるけれど最終的には被害者になってしまう存在として描かれてきました。しかし、本作はこれまでとは違ったかたちで子どもを描きたいと思ったのです。ソヒョンさんならではの強靭さを表現したいと思いましたし、ミジャの“走り出したら誰にも止められない”イメージを、これまでにない角度から描きたいと思いました」(ポン・ジュノ監督)

子どもでありながら海を超えて無謀な冒険に出かけるミジャ、オクジャを国際的な食糧ビジネスのツールだと考えている大人たち、そして動物を守る活動家集団が錯綜する本作は、娯楽大作でありながら、これまでのポン・ジュノ作品同様、社会が抱えている問題や複雑さを余すところなく盛り込んでいるが、監督は「エンターテインメントと社会的なメッセージは分離して考えることはできない」という。「観客が、その作品で描かれていることを、自分の姿や身の回りの問題と似通っていると感じた時に、エンターテインメントはパワフルなものになります。観客が主人公の置かれた状況や感情を理解し、共感し、作品世界に引き込まれる状況は、社会的なメッセージがあってこそ可能であり、娯楽性と社会的なメッセージを混ざり合わないものだと考えて分離することの方が抽象的なアプローチではないでしょうか? 観客が共感する社会的なメッセージがあれば、観客は登場人物の運命に引き込まれ、エンターテインメントの興奮はより高まると私は考えています」

“大きな食べ物”としてこの世に誕生したオクジャを、少女ミジャは守ることができるだろうか? 仮に守ることができたとして、私たちの社会が抱える問題や複雑さはすべて解決されるだろうか? 全世界に向けた一大エンタメ大作『オクジャ /okja』は、観ている間は息つく間もないほど楽しく、観終わった後には深い余韻と、思わず考えたくなるテーマが残る傑作になっている。

Netflixオリジナル映画『オクジャ /okja』
本日より全世界同時オンラインストリーミング開始

最終更新:6/29(木) 18:00
ぴあ映画生活