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お笑いと不況の関係 フリップ芸人が重宝される理由とは

6/29(木) 17:50配信

AbemaTIMES

 昔に比べ、最近はネタ番組が非常に少なくなってきている。特に長尺のネタをやれる番組は数えるほどで、その中でも若手芸人にはショートネタと言われる1分~1分30秒くらいの時間しか与えられないことが多い。ある若手芸人はこう話す。

「テレビ番組のどのオーディションに行っても、大体ネタ時間は1分30秒くらいです。場合によっては30秒までなんてこともあります。僕らはコントをよくやっているのですが、それを1分30秒に縮めるのは本当に厳しいですね。そういった事情なだけに、ありネタとは別でショートネタ用に作ったりもしています」

 ショートネタというのはコントや漫才とはまた別のジャンルと考えてもよさそうだ。四コマ漫画のように一コマで完結に起承転結を表現しなければならず、お笑いに大事なフリに十分な時間を割くことができないのである。それでも短い時間に笑いを取らなければならず、芸人は頭を悩ませている。

▼ ショートネタブームの到来、“フリップ芸”の台頭

 このショートネタのブームのきっかけとなったのは2007年から2014年まで放送されていた『爆笑レッドカーペット』(フジテレビ系)である。この番組では芸人が1分~1分30秒程度のネタを披露し、流れるように次々と多数のお芸人が登場した。このようなショートネタがブームになった背景にはテレビ局の懐事情が大きく関わっている。不況のあおりを受けて、スポンサーがテレビ局から手を引き、番組の予算が昔に比べると大幅に少なくなったのだ。

 そこでテレビ局はあまり制作費のかからないネタ番組を作り始めた。ピン芸人の中で“フリップ芸”などが流行したのもこれが影響している。漫才ならばマイク1本を用意すればいいだけだが、漫才だけだと飽きられる。かといって長尺のコントだと舞台セットにお金がかかってしまう。そこで考えられたのが、同じ舞台セットでギャラが安い若手芸人を使ったネタ番組ということだ。

 まだあまり知られていない若手芸人だとしても、テレビ局は視聴率を取らなければならない。視聴者を食い付かせるために、短いネタをどんどんやらせるスタイルにしたのだ。

 そうすることによって視聴者は『この芸人は面白くない』と思っても、どんどん次のネタが出てくるので、どこかでヒットする若手が現れる。特に “お嬢さま芸人”で話題のたかまつななは、フリップをめくりながら演じる「お嬢様言葉」のネタで、2013年のR-1ぐらんぷりでは準決勝進出も果たした。

▼ フリップ芸人たちが重宝される理由

 さらにショートネタだとカットしやすいという事情もある。長尺のネタだと、どこかをカットするとネタの後半でつじつまが合わなくなったり、笑いどころのニュアンスが変わってしまったりということもあり、なかなかカットするのは難しい。しかし、ショートネタであれば、丸々その芸人のネタをカットしてしまえばよく、時間調整に都合がいいのである。実際にお蔵入りになったネタが数多く存在し、某番組では数年前のネタがオンエアされるということもあった。

 1分~1分30秒で笑いを取るのは芸人にとって至難の業である。しかし、これからもショートネタしかやらせてもらえない状況は続く。まず、若手芸人にとっては “フリップ芸”をはじめとしたショートネタを極め、知名度を上げることが、ヒット芸人になる近道だと言えよう。

最終更新:6/29(木) 17:50
AbemaTIMES