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ドラッグストアが菓子や日焼け止めを隠すわけ

6/29(木) 14:22配信

ウォール・ストリート・ジャーナル

 米ニュージャージー州に住むケビン・ヒースさん(66)は近所のドラッグストアの店内を歩き回り、妻の好きなリコリス(甘草を添加したグミ菓子)を見つけようとして戸惑った。店舗の入り口付近にあったキャンディー類はもうそこに並んでいなかった。

 店員に教えてもらい、かなり奥まった場所におやつ売り場があるのを見つけた。「まあ私は引退した身だから、少し余計に時間がかかっても大丈夫だよ」と話す。

 米ドラッグストアチェーン大手CVSヘルスは確かに変わった。3年前にたばこ製品の販売を中止し、社名に「ヘルス」を加えた同社は、新たなステップとして大半のジャンクフードを店の奥に引っ込め、効果の低い日焼け止め剤の販売をとりやめ、トランス脂肪酸を含む食品を陳列棚から排除した。

 こうした変化は、健康重視の品揃えやサービスによって競合他社との差別化を図る取り組みの一環だと、同社小売り部門を率いるヘレナ・フォークス氏は話す。

 最大のライバルであるウォルグリーン・ブーツ・アライアンスはやや異なる。買い物客を悪習から守るのは店側の仕事ではなく、消費者が望むなら不健康な選択をしてもよいはずだと同社は話す。ただしCVSと同様、健康志向の強い客の要望に応え、売り上げを伸ばす努力もしている。

 例えばウォルグリーンはたばこを販売するが、その一方で禁煙を支援するために特別なトレーニングを受けた薬剤師や禁煙グッズも用意する。キャンディー類は相変わらず店頭に置くが、店内に新鮮な果物や野菜を置くスペースも設けた。さらに、顧客が運動や健康管理によって貯めたポイントを買い物に利用できる会員プログラムも提供する。

 「顧客に選択を任せ、どれか身体に良いかを指示はしないが、より健康な選択ができるように助けるにはどうすればいいか?」。ウォルグリーンのアレックス・ゴーリー共同最高執行責任者はインタビューでこう述べた。「顧客が選べるように一定水準の利便性を保ち、同時に一定水準の動機づけを与えることだ」

 ドラッグストアチェーンによる薬剤給付管理(PBM)企業の買収が相次いだ結果、この業界がヘルスケア分野のサプライチェーンに占める割合は一段と拡大。最大手ウォルグリーンは3位のライト・エイドを買収する計画で、独占禁止当局の承認待ちとなっている。

 CVSは日焼けオイルの販売や、がん予防に効果なしとの判断を米食品医薬品局(FDA)が示したSPF(紫外線防止指数)15未満の日焼け止め剤の販売をとりやめた。また、FDAが1年以上先にトランス脂肪酸を含む食品の禁止措置を実施するのをにらみ、CVSは今月早くもそれらの出荷を中止する予定だ。

 「当社は嗜好(しこう)商品と有害な商品を区別している」とCVSのジュディ・サンソン最高販売責任者は語った。「われわれはより健康な選択肢を提供し、顧客がそれらを見つけやすいようにしている」

 こうした軌道修正が売上高に与える影響は、たばこの販売中止ほど大きくない見通しだ。CVSによると、たばこ販売中止は年間売上高を20億ドル押し下げたという。

 また小売売上高がCVSやウォルグリーンの売上高全体に占める割合は近年低下している。両社とも薬局部門やヘルスケア部門の伸びのほうが大きいためだ。

 CVSの場合、小売売上高が占める割合は2013年の52%から16年は46%に下がり、ウォルグリーンの米国部門では13年の37%から16年は33%に低下した。

By Sharon Terlep