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今宮純によるF1アゼルバイジャンGP採点:ホンダに対する批判も不屈の精神あればこそ

6/29(木) 13:14配信

オートスポーツweb

 F1ジャーナリストの今宮純氏が独自の視点でドライバーを採点。週末を通して、20人のドライバーから「ベスト・イレブン」を選出。予選やレースの結果だけにとらわれず、3日間のパドックでの振る舞い、そしてコース上での走りを重視して評価する。 

ルノー元代表ブリアトーレと談笑するフェルナンド・アロンソ

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☆ セルジオ・ペレス
 不協和音が聴こえてきている。そろって今季ベストグリッド、6位ペレス、0.075秒差で7位エステバン・オコン。めきめき成長する若者への対抗意識がカナダGPから一層強まる。スタートで3位にアップ、強気にいく。

 20周目に起きた接触の前、1コーナー攻防から互いにけん制、イン&アウト並走のまま、2コーナー出口でタッチ・アウトだ。直ちにチーム内で「交戦規程」を明確に――それをアピールしたペレス、連続完走記録37戦で止まった。

☆ カルロス・サインツJr.
 カナダで強引なプレーが問題視された後だけに、スタート1コーナーではみ出たダニール・クビアトが戻るのをとっさに回避スピン。自己犠牲的なチームプレーだ。そこから長い乱戦ゲームを8位フィニッシュ、挽回したものの遂にランク5位の座をウイリアムズに奪われる。

☆☆ キミ・ライコネン
 今年硬質なピレリになってから前後タイヤ発熱(温度バランス)の差異は、セバスチャン・ベッテルよりもやや小さいように感じとれる。冷え症に苦しみながらもフリー走行から優勢、予選も先行するいいリズム。

「また×××かよ!」、2コーナーでインサイドに侵入者が来て接触。そのダメージが響き結局14位無得点。ひとこと、キミはレース運が悪すぎる――。


☆☆ ルイス・ハミルトン
 あえて見方を変えれば「けんか両成敗」か(?)。ベッテルとの事件後にヘッドレストが緩むトラブルとは。ヘッドレストを押さえようと究極の片手運転は、オレンジボール警告旗が出されてもいい症状だった。

 9秒3の交換ストップ、ベッテルは12秒1のペナルティストップ(どっちもどっち)。その後、終盤4位争いでハミルトンには仕掛けるそぶりが見られなかった。怒り心頭の相手に迫るのを自重したのか。それにしても66回目PPのメガ・ラップ、旧市街セクター2のアタックはまさに世界遺産級(?)、見とれました。

☆☆☆ パスカル・ウェーレイン
 シーズン半ばの時期に、十数年間在籍し12年から代表職を務めてきたモニシャ・カルテンボーンさんが突如“失脚”。真相は定かでないが、それだけにドライバーは動揺する。負傷欠場がありこのチームにきて6戦目、旧型フェラーリPUで予選15位、決勝10位は彼女への恩返しのよう。在籍3年目の相棒はもう2年近く入賞がないのだが……。


☆☆☆ ケビン・マグヌッセン
 荒れたバクー市街戦にルノーを除く9チームがトップ10入賞。ハースでの最高結果7位、安定感あるレースをつらぬいた。「スローイン・ファストアウト」、ブレーキングに悩むロマン・グロージャンとの違いはそこだろう。


☆☆☆ フェリペ・マッサ
 2強を追う3位にマッサが上昇、望外のチャンスに「勝ち味」を思い出していたはずだ。赤旗再スタート後からFW40のフロントに微振動が起き、車高姿勢も腰高なのが見てとれた。リヤ・サス一部ダンパーに不具合が発生、258戦目に訪れたかすかな勝機は消え去りピットから新鋭を見守る傍観者に。



☆☆☆☆ マックス・フェルスタッペン
 とうとうリタイア率50%。ここまで8戦・全489周中の277周走行はレギュラー勢で最下位。FP1も2もトップ(初めて)、バクー高速コースをロー・ダウンフォースのままで踊るように飛ばした。高いボトムスピード、広いコーナリングライン、直線以外ではたえずスライドするのを精密コントロール。彼のどこかに“壁センサー”がついているのだろう。

☆☆☆☆ ランス・ストロール
 表彰台に上がった史上208人目が、18歳239日のストロール。初日からミスなく、イエロー・フラッグを出すこともなかった。カーナンバー18を19と見間違えるほど、まったく初めてのコース、8戦目での3位がさらなる飛躍台となるだろう(いやそうなってほしい)。



☆☆☆☆ リカルド
 3位~3位~3位~1位、4戦連続表彰台は彼自身初めて。フェルスタッペンに予選で及ばなくとも、気持ちを切り替えてくるメンタルの強さを感じる。それが「レース運」をよびこむのだろうか。一方でレッドブル・チームは全8戦に最低の685周、相当シビアな攻めるマシン設定をしているのがこの記録から分かる。



☆☆☆☆☆ フェルナンド・アロンソ
 印象に残るシーンを35周目前後に見た。6位アロンソ+7位ベッテル+8位ハミルトン、コーナーでありったけの技で抵抗しもう無理と察知したらロスなく(邪魔せずに)身を引く。「勝っていなければならないレース」と言ったその言葉には、深い意味がある。

 たんなる“批判“ではない、心の叫びと受けとめられるからだ。歴代王者のうちアロンソの今の立場を受容し、アロンソのような『不屈のレース』ができる者は居ないのではないか。開運の時が早くくることを願う――。



[オートスポーツweb ]