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JALが信用力でANA凌ぐ、業績重視の株価上昇はANAに軍配

6/29(木) 5:00配信

Bloomberg

2010年の経営破綻から再建を果たした日本航空(JAL)は、信用リスクの面ではライバルのANAホールディングスを凌ぐほどまで回復した。両社の株価とは対照的な動きを見せている。

ブルームバーグのデータによれば、JAL債(2026年12月償還)の対国債スプレッド(上乗せ金利)は41ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)と、ANAHD債(同年9月償還)の48bpを下回り、信用力で勝っている。一方、年初来の株価上昇率はJALが1%にとどまっているのに対し、ANAHDは24%に達している。

JALは会社更生法の適用を申請した翌11年には更生を終了。財務改善に向け人材再配置や機材更新などを行い、昨年12月には社債市場に復帰した。政府支援を受けた同社が競争環境を歪めないよう国土交通省が監視していた状態も3月で終わり、自由に新規投資や路線開設を行えるようになった。

JALの格付けはほぼANAHD並みに回復、野村ホールディングスによるとJAL債を保証するクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の取引も今月初め、破綻直後以来初めて行われたという。

ニッセイ基礎研究所年金研究部長の徳島勝幸氏は、JALの信用状態について「ようやく普通になったということだ」と述べ、「法的整理した後で社債を出し、CDSの取引まで復活しているというのはJALが初めてだろう」と指摘した。野村HDは26日付のリポートで、JAL債のスプレッドについて「タイト化余地は大きいとは言い難いが、信用力の安定推移が見込まれる」としている。

JALの広報担当、籔本祐介氏は社債スプレッドについてコメントできないと述べた。ANA広報部の吉岡航氏は「セカンダリーの値段は需給なども勘案した数値なので、会社本体の信用力と必ずしもイコールではない」と、電子メールでコメントした。

モメンタムか利益率か

野村証券の荻野和馬クレジットアナリストは、両社の信用力と株価が逆の動きをしていることについて、JALの業績をめぐって「モメンタムは確かに悪くなっているので、株式市場ではそれを嫌う傾向にあるが、クレジットの観点では他社と比べても利益率が高いという視点を投資家は持っている」と分析。信用力の面で「少なくともまだANAと同等以上の評価を受けることに合理性はある」と述べた。

今期(18年3月期)の連結純利益予想は、JALが前期比39%減の1000億円に対してANAHDは27%増の1250億円と逆転する。一方、前期(17年3月期)の売上高に対する純利益の割合はJALが12.7%と、ANAHDの5.6%を上回る。

荻野氏はまた、JAL債の発行残高が200億円と少ないことを挙げ、スプレッドの面で「JALの方に優位に働いているのは間違いないと思う」と述べた。ブルームバーグの集計データによると、ANAHDの社債残高は1550億円ある。

第6、9段落を追加し、更新しました.

Takashi Nakamichi

最終更新:6/29(木) 9:51
Bloomberg