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父の住所、直前まで静岡市が未把握 沼津・女児死亡事件

6/30(金) 8:06配信

@S[アットエス] by 静岡新聞SBS

 沼津市で生後2カ月の女児が実父の会社員の男(23)=同市大手町=から暴行を受け死亡したとされる事件で、女児の母親(17)が妊娠中から面談支援などを重ねていた静岡市は29日、容疑者の住所を事件の4日前まで把握していなかったことを会見で明らかにした。静岡県は静岡市から情報が入っていなかったことを明らかにした上で、「市が危機感をもう少し高めていれば」と残念がり、関係機関との積極的な連携と情報共有で早期把握に努めるべきだったとの認識を示した。

 静岡市によると、女児の母親は同市清水区の実家で両親らと暮らし、市児童相談所が2016年4月5日に母親と面談して妊娠を確認。未婚の未成年妊・産婦として、その後は清水保健福祉センターの保健師が家庭訪問などで母親との接触を続けた。出産後も1カ月健診などを通じ、女児の発育が良好で虐待の恐れがないことを確認してきたという。

 だが、母子手帳で父親である容疑者の氏名と職業を4月に把握した一方、記載が無かった住所は調査しなかった。女性が市に対し「籍は入れず、実家で育てる」と話したことが念頭にあったとみられる。

 11月15日に保健師が母親宅を訪ねた時は不在で、28日に女児の祖母に電話すると「父親が沼津市にいて、母親も一緒にいる」と説明された。その段階で静岡市は「虐待の兆候はなく、切迫性のある状態ではない」と判断し、沼津市や県と情報を共有しなかった。事件はその4日後に起きた。

 静岡県こども家庭課は「どの段階で連携するかの判断が難しいケース」と前置きした上で、「結果が重要で、危機感次第で最悪の事態は防げた可能性はある」と指摘。「母子家庭に男性が入って生活を始めるケースは注意が必要。手帳の記載情報から住所を特定する作業を、沼津市や(県が所管する)東部児相などと連携してやるべきだったのでは」と問題提起した。



 ■死亡女児にあざ複数 経緯を慎重に捜査 沼津署

 沼津市で生後2カ月の女児が暴行を受け死亡したとされる事件で、病院に搬送された際に女児の頭部に複数の傷があったことが、29日分かった。発生直後に沼津署に通報した静岡市児童相談所が明らかにした。

 殺人容疑で同署に逮捕された実父(23)=沼津市大手町=は、医師に「娘を落とした」と話していたとされ、同署が詳しい経緯を慎重に調べている。

 関係者によると、女児の頭部以外にも複数のあざが確認されたという。県警によると、女児が暴行を受けたのは、同居していた内縁関係にあった母親(17)が事件当日の朝にアルバイトへ出勤した後とみられる。母親は2016年12月2日午前8時ごろ、アルバイトのため自宅を出た。その頃女児に異変はなかったという。同日午後4時半ごろに帰宅すると、容疑者と女児は自宅にいなかったという。

 同署は女児が暴行を受けた時間帯の特定を急ぎ、容疑者の事件当日の行動についても調べを進める。



 ■静岡県内の児童虐待相談最多 実父母による被害8割 16年度2496件

 静岡県が29日公表した2016年度の児童虐待相談件数は2496件(15年度比291件増)で過去最多を更新した。虐待者は実母が1454件で最多。実父も増加傾向にあり、実の両親による虐待が全体の約8割を占めた。沼津市で生後2カ月の女児が実父から暴行を受けて死亡したとされる事件も報告件数に含まれている。

 実母による虐待は15年度より176件増加、実父は88件増の794件。被虐待児の年齢別は小学生が898件で最も多かった。ただ、重篤な事態に陥りやすい3歳未満と3歳以上学齢前の合計は1137件で全体の4割超。県は育児ストレスから虐待に至る母親が多いとみていて、乳幼児家庭への全戸訪問や3歳児健診などで親子の様子を観察し、リスクが高い場合は継続的な支援に努めている。

 虐待の種類別では、子どもの目の前でドメスティックバイオレンス(DV)を行うなどの心理的虐待が1241件で最多。身体的虐待652件、ネグレクト(育児放棄)565件、性的虐待38件と続いた。

 相談経路では、警察が760件、近隣知人が522件。県は相談件数が過去最多になった要因について、関係機関との連携強化や社会的関心の高まりを挙げた。

静岡新聞社