ここから本文です

53歳焦りにまみれた「老後不安脱出ルポ」。頑張った人が幸せな老後を迎えるには…

6/30(金) 11:10配信

ZUU online

「お金のことがなんとなく不安だけど、特に何もしていない」という人は多いのではないかと思います。

イラストレーターの上田惣子さんもそんな中のひとりでした。

現在53歳、夫婦二人ともフリーランスで、25歳の時からコツコツとイラストの仕事をしてきましたが、大病をして約1年休業した頃から仕事量が減り始めます。

気がつけば、全盛期と比べると年収は3分の1に。50代を迎え、だんだんと老後が心配になってきました。

『マンガ 自営業の老後』(上田惣子著、文響社)では、そんな自営業者の上田さんが、老後についてどう向き合い、どのように対処していったかが紹介されています。

■自営業者だからこそ、入っておくといい制度とは?

上田さんはまず、「老後に向けて備えまくっている30代のデザイナー加藤さん」に取材。そこで分かったことは、自営業者が老後の蓄えとして、「確定拠出年金(個人型)」と「小規模企業共済」を検討するとよいということです。

☆「確定拠出年金(個人型)」とは?
国民年金や厚生年金とは別に、自分でお金を積み立てて年金を準備するというシステム。受け取りが60歳以降であることが注意点ですが、強力な節税効果が見込めます。

☆「小規模企業共済」とは?
自営業者のみが入ることができ、廃業した時に備えて自分で退職金を準備するシステム。節税効果+有利な利回りの適用があります。ただし廃業などの理由以外で解約すると、掛け金納付月数が20年未満の場合は元本割れになるので注意。

どちらも国の制度であり、老後資金の準備として、自営業者が利用しない手はないということがわかります。

■年金を払ってこなかったフリーランスは多い!

上田さんは、今までいろいろな保険に入ってきましたが、生まれてから一度も年金を払ったことがありませんでした。そこで、上田さんは年金と保険のスペシャリスト田中章二さんを訪ねます。

実は、上田さんのように年金を払ったことがないという自営業者は意外と多いのだとか。

しかし、国民年金は終身(死ぬまで)保障があるなど、メリットがたくさん。年金をもらえるだけでなく、死亡した時に家族に支給される「遺族基礎年金」という保障までついているのです。

2016年11月には「年金機能強化法」という法律ができたため、受給資格を得られる納付期間が25年から10年に短縮されました。また、後納制度により今から5年さかのぼって納付が可能です。

国民年金は決して払い損ではないのです。幸せな老後のためには、しっかりと払っていくことが大切。

そうして年金の知識を得た上田さんは、続いて不動産コンサルタント長谷川高さん、公認会計士の林總さんら、さまざまなスペシャリストの元を訪れ、どんどんマネーリテラシーを高めてゆくのです。(内容は漫画とコラムと両方が充実しています)

■自営業者が幸せな老後を迎えるためにできること

そのほか、まずは生涯収支を出してみて、家庭の収支をつまびらかにしてみることで、将来的に実際に足りない金額が分かり、不安が少なくなるといったことも書かれています。

本書のタイトルには「自営業」という言葉が入っていますが、内容は会社員の女性にとっても「自分ごと」ばかり。これから独立、起業したい人にとっては、フリーになるときに気をつけておきたいお金のことが網羅されていると言っても過言ではありません。

一生懸命に頑張って仕事をしてきた女性が幸せな老後を迎えるために、今からできることをおろそかにせずにしっかりと対応しておきたいものですね。(書評おわり)

■制作秘話~編集担当より~

「え? 個人事業主の老後ってやばくないですか!!」

こんな会話から始まった本書の企画。「不安で不安でたまらない」という上田さんでしたが、「何が不安なのか」「何を知りたいのか」「誰に会いたいのか」「貯金はいくらなのか」という、編集担当からの質問に「よく、わからない。とにかく不安なんです!」との答え。不安のあまり、具体的な現実から目をそらしてきたため、さらに不安が膨らむというループで思考停止状態だったようなのです。

上田さんには長年お仕事でお世話になっています。その誠実で質の高い仕事ぶりを知っているからこそ、私生活のお金まわりのズボラぶりにびっくり。ほかのライターさんやイラストレーターさんでも、いい仕事をする人ほど、請求書が遅かったりして、「お金がニガテで、老後を見てみないふりをしている、自営業の方、たくさんいるのでは??」と予感しました。

ずぼらフリーランスの代表として取材してもらおう。でも、知識をなぞるだけではなく、当事者としての気持ちも書いていただきたい。そう思い、上田さんに「丸裸になってください」とお願いしました。そして、取材のたびに、恥をしのんで現状をさらけ出してくださいました。(苦手な保険の取材などのときは、ぼーーーーっと空を見つめ、寝ていらっしゃるのかと思ったこともありましたが・笑)

自営業者の保険のこと、税金のこと、不動産投資、老後のリアルな生活について、さまざまな先輩や専門家に教えを請い、取材のたびに寝込むほどショックを受けつつも、 教わったことを一生懸命実践していった著者の上田惣子さん。

53歳のイラストレーターの焦りと不安にまみれた「老後不安脱出ルポ」は、 相当おもしろく、胸に迫るものがあります。 お金まわりがニガテな上田さんだからこそ書けた税金や保険の知識、必読です! (編集担当より)

>『マンガ 自営業の老後』(上田惣子著、文響社)https://www.amazon.co.jp/dp/4905073901

ナカセコ エミコ
(株)FILAGE代表。女性のキャリア・ライフスタイル・書評を中心とした執筆と商品企画を行う。銀行員、図書館司書、一般企業にて総務・流通管理・店舗支社長・商品開発部門管理職・社員研修担当を経験。https://www.filage.co/

(提供:DAILY ANDS)

最終更新:6/30(金) 11:10
ZUU online