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弁護団「鑑定と矛盾せず」 「袴田事件」検証結果で意見書 

6/30(金) 8:27配信

@S[アットエス] by 静岡新聞SBS

 静岡地裁の再審開始決定で釈放された袴田巌さん(81)の即時抗告審3者協議が29日、東京高裁(大島隆明裁判長)であった。弁護団は同日までに、弁護側DNA型鑑定に関して専門家が行った検証実験結果について同高裁に意見書を提出。改めて「弁護側鑑定と矛盾しない」と訴えた。

 専門家は鈴木広一大阪医科大教授で、同高裁の嘱託で実験を行っていた。最大の論点は、弁護側の本田克也筑波大教授が血液由来のDNAを集めるために用いた「選択的抽出法」の信用性だった。

 弁護団は意見書で、鈴木教授の2月の中間報告と6月の最終報告を比較。本田教授が使用した試薬「抗Hレクチン」について「中間報告では試薬を混ぜるとDNAが消失するためタブーとしながら、最終報告では検出されたとした」などと指摘した。その上で「『試薬を使うべきではない』という信念の下、独自の証明実験を行っている。実験は嘱託事項と異なる」と検証結果の無効を訴えた。

 東京高裁の嘱託事項は、古い血痕に唾液を混ぜた混合試料からDNA型が検出できるか確かめる―という内容だった。

 西嶋勝彦弁護団長は会見で「裁判所は9月に専門家2人に対する尋問を行う意向」と明らかにした。その上で、鈴木教授への嘱託から約1年半もかかって最終報告書が提出されたことから「尋問ではまず、なぜこれほど長期間を要したのか聞きたい」と述べた。

 検察側はこれまでに、鈴木教授の最終報告書についての意見書を提出していない。

 DNA型鑑定に詳しい専門家は「『検証実験』にこれほど長い時間がかかるとは予想しなかった。今後の議論も複雑化し、一層長期化するだろう。袴田さんは高齢。DNA型鑑定で最終決着をつけるなら、数カ月でできる『再鑑定』こそ近道だ」と持論を話した。

静岡新聞社