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ひふみん、仙台白百合女子大人間学部の客員教授に就任「人生経験語りたい」

7/1(土) 5:02配信

スポーツ報知

 将棋の加藤一二三九段(77)が30日、東京都渋谷区の将棋会館で引退会見を行った。約40社、約100人の報道陣が殺到した会見場で「元気良くこれからの人生を歩んでいく気持ち」と未来を見据え、仙台白百合女子大の客員教授に就任したことを報告。公式戦29連勝の新記録を樹立した藤井聡太四段(14)について「素晴らしい後継者を得た」と語るなど加藤流マシンガントークの25分間だった。

 62年11か月の戦いを終えた加藤の顔は晴れやかだった。「大変スッキリした気持ちです。これからも今まで通りヤル気を失わないで、元気良くこれからの人生歩んでいく気持ちです」。20日の引退局とスーツもシャツもネクタイも同じだったが、表情は正反対。終始、ひふみんスマイルを浮かべていた。

 最後まで加藤流を貫いた。会見時間を20分に限定したわりに、止まらないマシンガントーク。「将棋の棋士という存在は立派な将棋を指し、ファンの方々に大きな喜びを与えることに尽きます」

 思い出の勝負には、悲願の名人位を中原誠十六世名人から奪取した1982年度の名人戦を挙げた。敬虔(けいけん)なクリスチャンらしく「神様のお恵み」と感謝し「魂を燃やして戦いました」と懐古した。

 現役生活の最後のハイライトは昨年12月、藤井のデビュー戦。新旧天才少年対決で敗れたことを受け「優れた秀才型の素晴らしい棋士。欠点がひとつもない」と賛辞を贈り「素晴らしい後継者を得た」。1952年、大山康晴(後の十五世名人)に名人位を奪われて引退した際の木村義雄十四世名人の名言「良き後継者を得た」を思わせる言葉を発した。

 壇上では、仙台白百合女子大人間学部の客員教授に就任したことも発表。「折々に大学を訪れ、人生経験を女子学生に語っていきたい」。加藤の3人の娘が幼稚園から高校まで白百合学園に通っていたことが縁で実現。教壇に立つのではなく、講演などを通して伝統文化を伝えていく。矢口洋生学長(56)は「ぜひ将棋の指導もしていただきたいです」と期待している。

 会見を終えた加藤は、名残惜しそうな表情で将棋会館に居座った。記者室のソファに座り「おなかすいたなあ」と言い、卵とじうどんを出前で注文した。(北野 新太)

 ◆ひふみんに聞く

 ―現役生活を終えて。

 「長年にわたって私とともに魂を燃やし、共に歩んできてくれた妻に対して、深い感謝の気持ちをあらためて表明する次第です」

 ―自らの将棋を振り返って。

 「バッハやモーツアルトの名曲は今も世界中に大きな喜びを与えている。おこがましいが、名局は文化遺産として残していかないといけない」

 ―藤井四段が「一抹のさびしさ」と言っている。

 「ちょっとホッと哀感の空気が漂ってくる」

 ―最後に。

 「立派な後継者が粒ぞろいで、心安んじて引退していくことができて、大変ありがたいこと」

 ◆加藤九段が残した記録

 ▽通算記録 2505局(歴代1位)1324勝(同3位)1180敗(同1位)

 ▽通算タイトル 名人1、十段3、王位1、棋王2、王将1の計8期(歴代9位)

 ▽年少記録 18歳でのA級昇級、20歳での名人挑戦。14歳7か月で四段(棋士)昇段は、2016年に藤井聡太が14歳2か月で昇段するまで62年間にわたる記録だった

 ▽年長記録 77歳0か月での現役棋士&勝利

 ◆加藤 一二三(かとう・ひふみ)1940年1月1日、福岡県嘉麻市生まれ。77歳。54年、当時最年少の14歳7か月で四段(棋士)昇段。18歳でA級棋士となり「神武以来(じんむこのかた)の天才」と称される。69年に初タイトルの十段を獲得。82年に名人に。「棒銀」など徹底して自らのスタイルを貫く棋風。今月20日の対戦で敗れ、規定により引退した。早大中退。身長167センチ、体重80キロ。

最終更新:7/1(土) 5:02
スポーツ報知