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一晩寝かせたカレーも危険? ウェルシュ菌食中毒とは

6/30(金) 20:15配信

All About

◆ウェルシュ菌とは……集団感染も起こす食中毒の原因菌

人に下痢症状を引き起こす、下痢原性毒素を産生する「ウェルシュ菌」。ウェルシュ菌が食べ物と一緒に口から体内に入ると、その毒素により腹痛や下痢などの食中毒症状が起こります。

1995年~2004年の厚生労働省の食中毒統計によると、1回の食中毒事件で発生する患者数が一番多いのがこのウェルシュ菌で、83.7人と言われています。サルモネラで19.1人、病原性大腸菌で25.2人ですから、いかに一度に多数の患者を発生させてしまう菌かがわかると思います。

ウェルシュ菌は空気があるところでは増殖しない性質を持つ、「嫌気性」と呼ばれる菌です。ちょっとイメージしにくいかもしれませんが、空気が「ない」場所でのみ増殖します。これは、空気のあるところでのみ増える一般的な食中毒の菌とは真逆の性質です。そして極端に乾燥した場所や高温の状態などの環境になると、「芽胞」になって身を守ります。例えるならば、ダンゴ虫が敵から身を守ろうと硬く丸まるようなイメージです。

この状態になると、熱に対しても強くなるのが特徴です。この芽胞はとても強く、なんと100度で1時間以上加熱しても死滅しません。むしろ、加熱から身を守ろうとして芽胞になり、さらに菌が増えてしまうという性質があります。加熱後に食品が室温に放置されて50度以下になると、身を守っていたウェルシュ菌がまた増え始めてしまうのです。

家庭で気をつけるべき食品の代表的なものが、大人も子どもも大好きなカレー。カレーを作るときは大体一食分ではなく、多めに作り置きして、加熱してからまた食べることが多いでしょう。毎日加熱して菌を殺しているから大丈夫だと思っていても、室温で放置する時間がある場合、食品中にウェルシュ菌があればどんどん増えていくことになります。

◆下痢・腹痛……ウェルシュ菌食中毒の主な症状

ウェルシュ菌食中毒は一般的には軽症で済むことが多いのですが、主に以下のような症状が出ます。

・水のような下痢(水様性下痢)
・お腹が張る腹部膨満感
・腹痛

発熱や嘔吐のような辛い症状は少なく、血便なども見られません。下痢の症状も1~2日程度で回復してきます。

しかし、高齢者や乳幼児の場合は注意が必要で、下痢のために脱水を起こす危険もあります。そのため日常に潜むウェルシュ菌についての対策が大切になるのです。

菌が口から入って発症するまでの潜伏期間は6~18時間。この菌は、45℃で最も増殖し、10分ごとにどんどん分裂していきます。食品1g中に菌が10万個以上になったときに症状が出てきます。計算上で言えば、最初は1個の菌しかいなくても、170分(約3時間)で131072個になり、食中毒の症状が出てくる数にまで増殖してしまうわけです。

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最終更新:6/30(金) 20:15
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