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「ダイムラー×日本」の大型トラックはやっぱりスーパーだった!

6/30(金) 8:46配信

ニュースイッチ

三菱ふそう「スーパーグレート」の開発者が語るこだわり

【三菱ふそうトラック・バス HDTプロジェクト本部HDTプロジェクト部部長の植木敦氏】

 21年ぶりの全面改良となった大型トラックの新型「スーパーグレート」の開発コンセプトは「安全性」「経済性」「快適性・操作性」。これらを達成するため、12速の機械式自動変速機(AMT)を全車に搭載した。本格的に開発がスタートしたのは2011年。独ダイムラーの技術プラットフォームをベースにして、開発コストと開発時間を抑えた。ただ、それだけでなく、日本の道路環境などに適合するような独自の“味付け”をして、日本仕様のトラックに仕上げた。

 安全性では業界トップを目指そうと、特に力を入れた。国内初となる二つのミリ波レーダーで左死角に隠れた危険を警告する機能のほか、居眠り運転防止機能や性能を高めた衝突被害軽減ブレーキなどのダイムラーグループが持つ安全装置はすべて盛り込んだ。

 今回初めて、ダイムラーの電子制御ユニット(ECU)などのEアーキテクチャーを共通化した。これにより、各種の安全装備を採用できる環境が整った。

 全車にAMTを搭載したのは、車両の経済性と快適性を追求したためだ。新型スーパーグレートには、全地球測位システム(GPS)と3次元地図情報で道路の勾配を予測してアクセルや最適なギアを選択し、低燃費運転を支援する機能がある。

 また進化したオートクルーズは、車間距離を保持したまま、自動停止と自動発進機能を追加した。渋滞時の疲労軽減や追突事故の軽減につながる。

 これらの機能はAMTでなくては実現できない。AMTはダイムラーの最新型「シフトパイロット」を採用したが、信号が多い日本の道路事情などを考慮し、変速のタイミングやアクセルの応答速度などを日本仕様に調整する改良に時間を費やした。

 トラック業界はドライバー不足が叫ばれている。商用車メーカーとしても車両開発でお客さまを助けられないかという思いがあった。

 新型エンジンは16年排出ガス規制に適合。従来の排気量12・8リットルエンジンから、10・7リットルと7・7リットルにダウンサイズした。

 当初7・7リッターの小排気量では耐久性に劣るのではとの懸念もあったが、エンジン部品の素材や寸法を変更することで強度を高めた。懸案だった積載量は、最大で従来比8%増加することができた。

【記者の目】
 自動発進・停止機能を追加したオートクルーズや全車に搭載したAMTは、運転の快適性や安全性だけを狙って開発したものではない。完全自動運転を見据えた布石でもある。新搭載した稼働中のトラックの情報を収集する運行管理システム「トラックコネクト」もその一つだ。将来の自動運転の進化に備えた大型トラックとなった。
(日刊工業新聞第一産業部・尾内淳憲)

最終更新:6/30(金) 8:46
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