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スペワ閉園まで半年、後継施設まだ見えぬ具体像 イオンが異例の商店街行脚

6/30(金) 9:58配信

qBiz 西日本新聞経済電子版

 北九州市八幡東区のテーマパーク、スペースワールド(SW)の年末での閉園まで、残り半年。跡地活用の優先交渉先として、地権者の新日鉄住金から選定されたイオンモールは今月、「これまでにない新業態」(同社)の後継施設づくりに向けた調整を本格化させた。だが、地元の既存小売業へ配慮する姿が際立ち、具体像はまだ見えない。

⇒誘致を期待する声も…視察が相次ぐ職業体験テーマパーク「カンドゥー」

 「アウトレットモールは候補の一つだが、まだ何も決まっていません」。今月下旬、市内の商店街関係者に同社幹部は強調した。新日鉄住金と市担当者も同席しての「あいさつと現状説明」(イオンモール)。中旬から商業団体巡りを続ける同社幹部は、西日本新聞の取材に「不安もあると思うので直接お会いした方が良い」と打ち明けた。

 複数の商店街関係者によると、同社が熱を入れて訴えたのは「地元貢献」。「焼きうどんなど北九州名物を生かした食文化施設、親子で楽しめる体験施設を造る」「滞在型施設で小倉や黒崎などに経済効果が波及するようなプランを作る」など、市全域への経済貢献をアピールしたという。

イオンモールの異例の商業団体巡り

 SW閉園後に生まれる土地24万平方メートルは、ヤフオクドーム3個分超。隣接するイオンモール八幡東(6万7千平方メートル)と合わせれば「九州最大の商業エリア」(民間調査会社)になる。商店街などでつくる北九州市商業総連合会は今月21日、SW跡地への商業施設進出反対を決議した。イオンモールの異例の商業団体巡りに、商店街関係者は「既存小売業者の反発を抑えるために足場固めをしている」と推測する。

 その半面、同社による再開発を好意的に受け止める関係者も多い。地元財界幹部は「巨大な空白地を埋める企業はイオン以外にない」と断言した上で「(沈滞している)市の商環境を変える起爆剤になる可能性もある」と期待を隠さない。

視察が相次ぐ職業体験テーマパーク「カンドゥー」

 後継施設の具体像についてイオンモールは「検討中」と繰り返すのみだが、複数の関係者の話を総合すると、アウトレットモールを核に複数のレジャー施設を設置するとみられる。ショッピングモールとアウトレットの複合型のイオン系商業施設は全国で唯一、埼玉県越谷市にある。視察した地元関係者は「価格は安いが(佐賀県鳥栖市や福岡市の先行施設と比べ)品ぞろえの面ではどうか」と不安も漏らす。

 その中で注力するとみられるのが、体験を楽しむ「コト消費」。イオンにはカート用サーキットやアスレチックを併設する商業施設もある。特に北九州関係者の視察が相次ぐのが、千葉市の商業施設内で営業する子ども向け職業体験テーマパーク「カンドゥー」だ。パイロットや警察官、歯医者など33の職業が体験でき、週末は入場制限される人気ぶりだ。「九州に類似施設はなく中国・四国からも集客できる」(北九州市議)と誘致を期待する声が上がる。

 「SWの跡地整備は地元の声を聞きながら」を強調するイオンモール。果たして地域に配慮しながら、国内外から集客できる新業態の施設は実現するのか。地元巡りに同社の苦しい立場も透けて見える。

=2017/06/30付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞社