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英国人ハッカーが米国の軍事通信システムに侵入

6/30(金) 12:30配信

THE ZERO/ONE

米国防総省の衛星通信システムから情報を盗み出した容疑で2015年に逮捕されていた英国人ハッカーが、裁判で自らの罪を認めた。英サットンコールドフィールドに住居を構えていたショーン・カフリー(25歳)は2014年、米国防総省の衛星システムへ侵入し、同システムのユーザー800人以上の役職やユーザー名、メールアドレスの情報を盗んだとされている。

米英の協働による逮捕

英国家犯罪対策庁(NCA)のウェブサイトに記された報告によると、カフリーは2017年6月15日、英バーミンガムクラウン裁判所にて「数百人のユーザーアカウント情報を盗んだこと」を認め、Computer Misuse Act(コンピューターの濫用を禁止する英国の法)の下で有罪判決を受けた。カフリーは同システムから約3万件の衛星電話の情報を盗んだことも認めているという。

NCAの報告には、カフリーが逮捕されるまでのいきさつや、その後の調査に関する説明が簡素に記されている。彼の逮捕はNCA、FBI、そして米国防総省の強力なパートナーシップによって実現したもので、カフリーの所有していたHDDからは盗難されたデータも発見されているという。

今回の有罪判決について、NCAは次のようなコメントを発表した。
「サイバー犯罪が被害者を出さない、あるいはサイバー犯罪者が逃げ切れるなどとは、決して考えるべきではない」
「NCAにはカフリーと同様のスキルを持った人々がいる。しかし『サイバー犯罪者たちを見つけ出して正義に導いている彼ら』は(カフリーとは)正反対だ」
「我々はインターネットが『真っ当な利用者にとっての安全な場所』でありつづけるよう努めている」

まるでハリウッド映画?

カフリーがどのようにして米国防総省の衛星システムに侵入し、情報を盗み出したのかは、英国当局も米国当局も説明していない。そのため侵入の経路や手法については様々な想像を膨らませることができる。

そして「ひとりのハッカーが海外の軍事通信システムのハッキングに成功した」というニュースは、まるで映画のシナリオのように刺激的なので、「彼の侵入は壮大な軍事計画の一部だったのではないか?」「彼の背後には別の国家の諜報機関か、あるいは巨大な悪の組織がいるに違いない」「いや、彼はサイバー戦争に飲み込まれていく世界を救おうとした正義の天才ハッカーなのでは」などといった妄想も広げ放題だ。

しかし逮捕時の状況を知れば、とたんに肩すかしを食らうかもしれない。カフリーが捜査線上に浮かんだ理由は、どうやら彼が「自宅からインターネットに接続していたため」だったようだ。その通信を当局者によって突き止められた彼は、自宅のハードディスクから証拠を握られてしまった。おそらくそれは、それほど慎重ではない単独犯による行き当たりばったりの犯行だったのではないだろうか。

彼のハッキングの技術が、軍事レベルと言えるほど高度なものだったかどうかも分からない。彼が衛星システムに「侵入」したことは間違いないが、それほどスリリングな情報(たとえば通信内容など)は盗み出してはいない様子だからだ。英国ITメディア『The Register』は6月16日の記事の中で、カフリーの犯行について次のように語っている。

「(盗み出された個人情報が)連絡先のメールアドレスとユーザー名のみであったことから考えるに、カフリーはそれほど深くまで(システムに)侵入していなかったのではないかと我々は考えている」

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最終更新:6/30(金) 12:30
THE ZERO/ONE