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堤幸彦監督「テレビは遊び場。死ぬ前には絶対『トリック』を思い出す」 ――独占インタビュー後編

6/30(金) 7:20配信

AbemaTIMES

 2000年7月にテレビ朝日系金曜ナイトドラマ枠でスタートするやカルト的な人気を誇り、続編、そして劇場版、ゴールデンタイム進出……などなど、14年もの長きにわたり愛され続けてきた『トリック』シリーズ。

 本作は、自称・超売れっ子実力派マジシャンの山田奈緒子(仲間由紀恵)と日本科学技術大学教授で天才物理学者の上田次郎(阿部寛)のコンビが、超常現象や奇怪な事件の裏側に隠されたトリックの謎を解明していくミステリードラマだ。

 奈緒子と上田の凸凹な関係、濃い(すぎる?)キャラクター、繰り出されるギャグの数々……。放送当時、視聴者に衝撃を持って迎えられたばかりか、後のドラマにも多大なる影響を与えた。

 そんなどこか珍妙でありながらエッジの立った“トリックワールド”を作り出したのは、ご存じ堤幸彦監督。シリーズ終了から3年。前編のインタビューに続き、テレビシリーズの一挙放送を記念して、改めて『トリック』の魅力を聞いてみた。

視聴率は「決して高いものではなかった」

――ドラマ『トリック』がヒットしたからこそ、深夜ドラマ界が活気づき、後発の実験作、冒険作が作りやすくなったようにも思います。

堤:確か視聴率は平均で7.9%とか、その当時としては決して高いものではなかったですし、最初はそれっきりだと思っていたんですよ。あだ花のようなドラマとして終わっていくドラマなんだろうなと思ってた(笑)。でも、地中深くでマグマは動いていたと。その熱を見逃さなかった、テレ朝をはじめとする関係者のみなさんのおかげですね。

「流行に左右されない。そこは当時から意識」

――実験作、冒険作であるぶん、数年経って見ると逆にダサい……なんてことも少なくありませんが、『トリック』は今見ても古びていないですよね。それはシリーズを通して一貫している普遍性にあるんじゃないかなと改めて。

堤:流行に左右されない。そこは当時から意識していましたね。だから夜23時台の金曜ナイトドラマ枠で放送しようが、ゴールデンの木曜ドラマ枠で放送しようが映画になろうが、変わらないアプローチで臨める。見て下さる方もそうだと思います。スマートフォンで見ても、きっとなんら違和感がないはず。そのためには設定を変えない。髪形も衣装も、主人公2人の関係性も何も変わらない。規範にしたのは、寅さんでおなじみ映画『男はつらいよ』シリーズです。奈緒子はいつも貧乏だから上田の誘いにまんまと乗って、山奥の怪しい村まで超常現象の調査に出かけ、事件に遭遇する。何も反省しないまま、次の調査に出かける。この繰り返し(笑)。

――堤組名物の極端な「フカン」や「アオリ」、「シンメトリー」(※1)などなど、堤監督ならではの演出に驚く若い視聴者も多いと思います。

堤:極めてドラマ的ではないですよね。ルーツを辿れば(東放学園)専門学校時代、アグレッシブな先生がいて、ルイ・マルとかアラン・レネとか(ジャン=リュック・)ゴダール、 (フェデリコ・)フェリーニなんかの映画を観せられて。その時の衝撃、影響が大きいんですけど。ただ、『トリック』以前は映像の実験をやるチャンスが、実はほとんどなくって。せっかくのチャンスだから思い切りやってやろうと。非常に不自由な撮影条件の中で「どうにでも自由に撮れるんだよ」というのを、やりたかったと言いますか……(※2)。もっと源流を辿れば、数々の伝説的なミュージックビデオやCMを撮られた佐藤輝さんというカリスマ的、神様的なディレクターの影響です。ビデオカメラの極限に挑戦されていた方なのですが、私ももともとは音楽の映像を撮っていた人間ですから、精神的には佐藤さんの影響を受けましたね。

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最終更新:6/30(金) 7:20
AbemaTIMES