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米国生まれの“侍”加勢 武将隊として九戸政実PRに奮闘

6/30(金) 10:39配信

デーリー東北新聞社

 岩手県二戸地域の戦国武将・九戸政実(1536~1591年)をPRするために結成された武将隊に、ひときわ目を引く隊員がいる。米国ミシガン州出身のアダム・フィンクさん(27)。二戸市内の小中学校で外国語指導助手(ALT)として英語を教える傍ら、今春から同隊に加わった。5千の兵で6万ともされる豊臣軍と戦った政実の生涯や地域の歴史を伝えようと、“米国生まれの侍”は「政実を知らない人はまだまだ多い。自分も勉強しながら多くの人に伝えていきたい」と達者な日本語で力を込める。

 「鍛えに鍛えし九戸の砲術。上方勢を打ちてしやまん」―。11日に同市で開かれたイベントで、アダムさんによる流ちょうな口上が会場に響いた。「鉄砲の名手」とうたわれた工藤兼綱を演じ、見事な殺陣も披露。堂々とした姿に、来場者からは惜しみない拍手が送られた。

 幼少期から日本は身近な存在だった。携帯ゲームや映画など、自分の興味を引くもののほとんどが日本生まれ。独特な異国の文化に触れるうち、「いつか暮らしてみたい」という思いが強くなっていった。

 大学を卒業後、バーテンダーとして働き、日本での生活資金を貯蓄。ALTの仕事を見つけ、昨年3月、憧れの地に降り立った。

 日本語は来日前の1カ月間、米国で勉強しただけだったが、配属先となった同市の子どもたちや教職員らとの会話を通して独学で習得。日本食を食べ、日本人作家の小説に読みふけるなど、積極的に日本文化に親しんでいる。

 二戸での暮らしにも慣れ、地域のイベントへ積極的に参加するように。今年2月に開かれた二戸地域の偉人を描く市民文士劇には、南部藩と相対するロシア水兵役として出演を果たした。

 武将隊には文士劇の出演者に誘われて加入した。テレビの時代劇で見てきた甲冑(かっちゅう)に身を包むことになり、「まさか自分が侍になるなんて思ってもみなかった」。

 大学時代に日本の歴史を勉強していたが、政実については存在すら知らなかった。「天下統一を果たした豊臣秀吉は有名だが、そんな人と戦った武将がこの街にいたなんて」と感慨深げに語る。

 「日本に来なければ知ることができなかったことは多い。これからも自分自身が体験しながら、さらに吸収していきたい」。日本に対する興味は尽きない。

デーリー東北新聞社