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豚の餌に特産サツマイモ ブランド化目指す

6/30(金) 18:11配信

福井新聞ONLINE

 福井県あわら市特産のサツマイモ「とみつ金時」の生産農家が共同出資して設立した「とみつ」(同市北潟、吉村智和社長)が29日、放牧した豚の餌に、とみつ金時を与えるプロジェクトを始めた。放牧することで獣害防止が期待でき、規格外で従来廃棄していたとみつ金時を餌に活用して地域循環型の農業を推進する。将来的には育てた豚を「あわらポーク」としてブランド化を目指していく。

 この日は、同市富津地区の遊休地2カ所(計5千平方メートル)に、越前市白山地区から仕入れた生後4カ月の豚を5頭ずつ放牧した。豚飼育の技術的な支援を行う県畜産試験場によると、サツマイモを主な餌にした放牧豚は全国的にも珍しい試みという。

 「とみつ」は富津地区の若手生産者5人でつくる「エコフィールドとみつ」のメンバーが4月に立ち上げた。福井銀行芦原支店が、富山県で放牧豚にエゴマを与える取り組みを知り、あわら市、県と連携しながら、とみつ金時を活用した肥育の事業化を提案した。この事業を通し、農家の後継者不足に伴う耕作放棄地対策にもつなげてもらう。

 吉村社長によると、地区内の農地で昨年初めてイノシシ被害が確認され、今年は被害が拡大している。「今後被害が増えるのは間違いなく、農家にとっては死活問題。豚の放牧で獣害を阻止したい」と説明する。3年ほどかけて効果を検証し、地区を囲うように10カ所程度まで放牧地を増やしていくという。

 収穫したとみつ金時は、規格外や虫食いなど出荷できないものを畑に廃棄しており、全収量の約10%にも及ぶ。これがイノシシを呼び寄せる原因とも考えられ、豚の餌にして与えることにした。吉村社長は、将来的には豚を200~300頭規模に拡大する計画で「事業はイノシシ被害防止が主な目的になるが、とみつ金時を有効活用した放牧豚の取り組みは、循環型の地域農業の再構築につながる。あわらのブランドポークとして育てたい」と意気込む。

 豚は年内に出荷できるサイズに育ち、試食会などを開く予定。遊休地2カ所のうち、1カ所での餌は、とみつ金時6割、配合飼料を4割とし、もう一方はとみつ金時を2~3割に抑えて肥育する計画。豚の成長や肉質を比較・分析して品質向上を目指す。県畜産試験場の向井寿輔場長は「放牧で運動量が増える豚は、臭みがなく健康に育つ。でんぷんを多く摂取するので、うまみのある肉質になるだろう」と話していた。

 福井銀行は、今回のプロジェクトがビジネスとして軌道に乗るよう、事業計画の策定をはじめ、資金面や販路拡大を支援していく。