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欧州鉄鋼業、二酸化炭素排出削減の「パリ協定」で迫られる変革。SSAB、水素還元製鉄実用化へ

6/30(金) 6:02配信

鉄鋼新聞

 二酸化炭素(CO2)の排出削減に向けた国際的枠組み「パリ協定」の発効で、旗振り役であるEUのお膝元、欧州鉄鋼業が変革を迫られている。スウェーデンを本拠とする北欧の高炉メーカー、SSABは原料炭を使わない水素還元製鉄の実用化を目指すほか、オーストリアのフェスト・アルピーネは米国に上工程拠点を設けることで鉄源を欧州へ持ち込む。将来的には高炉以外の製鉄法が欧州で広がる可能性もある。

 SSABは28日、鉱山会社のLKABと、電力会社のバッテンフォールによるスウェーデン企業3社で水素還元製鉄「HYBRIT」の実用化を進めると発表した。1年以内に3社が3分の1ずつ出資する合弁会社も設立する。
 水素還元製鉄は、日本でも官民で取り組んでいるプロジェクト。SSABが組む2社は共にスウェーデンの国営企業で、LKABはSSABと関係が深い良質の鉄鉱石を産出するキルナ鉱山などを保有する資源会社。バッテンフォールは水素を扱うエネルギー会社で、実質的にスウェーデンも国策として水素還元に挑む形になる。
 SSABは統合したフィンランドの旧ラウタルーキを含め、北欧3カ所に高炉一貫製鉄所を持つ。これらのCO2排出量は合計で900万トンあり、スウェーデンが排出するCO2の1割相当を占めるという。原料炭の代わりに水素で還元する製鉄法が確立できれば、排出量を大幅に削減でき北欧で高炉操業を維持できることになる。2024年までにパイロットプラントを設け、35年までに実用化していく計画。
 オーストリアを本拠に年間750万トンの粗鋼を生産するフェストアルピーネは、米国のテキサス州に年産200万トンの直接還元鉄(DRI)工場を新設し、4月からフル稼働させている。神戸製鋼所子会社の米ミドレックスプラントを導入し、ここで得たホットブリケットアイアン(HBI)を輸入してリンツやドナヴィッツ製鉄所の鉄源として活用するプロジェクトで、欧州でのCO2排出規制が厳しくなった際のリスクヘッジとする狙いだ。
 製鉄プラント自体が進化する中、電炉をベースとした薄スラブ連続鋳造の薄板生産が広がる可能性もある。ドイツのティッセン・クルップは電磁鋼板事業で薄スラブ連鋳の導入に動いており、パリ協定は欧州各社の投資戦略も左右しそうだ。

最終更新:6/30(金) 6:02
鉄鋼新聞

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