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《ブラジル》サッカー王国復活への道=新世代で18年W杯優勝へ=現セレソンが無敵な真の理由

6/30(金) 7:03配信

ニッケイ新聞

(ブラジル邦字紙「ニッケイ新聞」移民の日特集号)




 あの悪夢の「ドイツ戦1―7敗戦」も今は昔――。セレソンは雪辱を期す2018年W杯ロシア大会のための南米予選を、世界の他の国に大幅に先駆けて制覇して、3月の時点で本大会出場を確定した。昨年9月就任のチッチ新監督は就任以来、南米予選を全勝で飾ったことで「チッチ効果」とも呼ばれているが、果たして強さの秘密は彼だけであろうか。

担うべき世代が育っての結果

 もちろん、2012年にコリンチャンスをクラブ世界一に押し上げたチッチの手腕の大きさは否定できない。前任のドゥンガの悪戦苦闘ぶりの采配からすれば、選手起用も戦術も比較にならないほど鮮やかで、確信に満ちている。だが、この強さはただ単に起用法のみではない。選手の実力が伴ってこそのものだ。

 その実例はデータにも表れている。たとえば、3月までの南米予選のセレソンのレギュラー中、実は同い年の選手が4人いる。

 ネイマール(バルセロナ)、彼と攻撃の前線を張るフィリペ・コウチーニョ、ボランチのカゼミロ(レアル・マドリッド)、そしてキーパーのアリソン(ASローマ)。彼らは1992年生まれで、2009年にU17の世界選手権にチームメートとして出場した過去があるのだ。

 このときのU17は世界大会では決勝トーナメントに進めずに終わるなど苦杯を舐めている。だが8年後の現在、世界的スター・プレイヤーとなったネイマールに引っ張られる形で、4人がセレソンのレギュラーを背負うまでになっている。

 こうした「強力世代」の存在は、代表チームが強くなるためには必要なことだ。たとえば2014年のW杯アルゼンチン代表もそうだった。

 この年、同代表はドイツに延長戦の末に準優勝を飾っている。世界一のプレイヤー、リオネル・メッシが1987年生まれ(当時27歳)だったが、他の攻撃の要であるゴンサロ・イグアインも87年、アンヘル・ディマリア、セルヒオ・アグエロも88年生まれと非常に年代が近かった。

 彼らのほとんどが2008年北京五輪で金メダルを獲得したメンバー。つまり、その6年後のW杯での彼らの活躍は、この当時から期待されていたものでもある。

 そう考えると、2014年のW杯でのブラジル代表の敗北は、「しかるべき世代」の育成ができていなかった結果かもしれない。実際、ブラジルはこの「80年代後半の世代」が他に比べて手薄なのは否めない。

 かのロナウジーニョやカカー、アドリアーノ、ロビーニョといった攻撃の名選手たちは、いずれも80年代前半の生まれ。現在も国内でフォワードとして活躍するフレッジやルイス・ファビアーノも然り。世界有数のディフェンダーと称されたチアゴ・シウヴァも同様だ。

 それと比べると、80年代後半は中心になるような選手が育たなかった。その代表格がアレッシャンドレ・パトにガンソだ。彼らはいずれも早くから「未来のセレソン」とも讃えられた早熟の選手だった。だが結局は伸び悩み、フッキやジョーなども大きなリーグでは活躍できないフォワードだった。

 それが、ネイマールが20歳に届くか届かないぐらいの若い年齢の時から、チーム全体を背負わざるをえない脆弱な体制だった遠因だろう。

 ところがチッチ監督就任と同じくして、コウチーニョ、彼らの一つ上のロベルト・フィルミーノ(リバプール)の台頭で、今や「ネイマール依存症」と呼ばれた、手薄な攻撃力も解消されつつある。

 今や、同年代のルーカス・モウラ(PSG)やドゥドゥ(パルメイラス)、一つ下のラフィーニャ(バルセロナ)、フェリペ・アンデルソン(ラツィオ)、ルアン(グレミオ)など、フォワードには有望選手が多い。その多さに、セレソンの召集枠が足りない状況になっている。

 守備に関していえば、ここ10数年は世界的なディフェンダー供給国でもあったので、今がウィーク・ポイント克服のための絶好のチャンスでもある。

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最終更新:6/30(金) 7:03
ニッケイ新聞