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量研機構が転移性胃がん標的薬を開発

6/30(金) 21:44配信

ニュースイッチ

臨床への応用、5年から10年のうちに

 量子科学技術研究開発機構の長谷川純崇チームリーダーらは、臓器を覆う「腹膜」に散らばった転移性胃がんに効果的な標的治療薬を開発した。転移した小さながん細胞を認識し、殺傷能力が高いα線で集中して攻撃する。マウスの実験で効果を実証した。難治性の転移性胃がんへの効果的な治療法として期待される。成果は日本がん学会誌キャンサー・サイエンスに掲載した。

 研究チームは、胃がんのうち、細胞表面に特定の分子「HER2」が存在するタイプに注目。HER2を認識する分子標的薬「トラスツズマブ」にα線を放出する原子「アスタチン―211」(211At)に付加して「211At標識トラスツズマブ」を作成した。

 ヒトの胃がん細胞に211At標識トラスツズマブを加えて培養すると、HER2陽性のがん細胞は増えずに細胞死を起こした。

 腹膜に転移がんのあるマウスに対し、211At標識トラスツズマブを投与すると、6匹中2匹でがん細胞が消失し、1匹は90%消失していた。

 211Atが放出するα線量は7時間で半減する。このため、211At標識トラスツズマブを効果的に治療に用いるには、製剤から使用までの時間の短縮などが課題となる。

 長谷川チームリーダーは「α線標識薬の臨床への応用は例がないが、5年から10年のうちに進めたい」と意気込みを語った。

最終更新:6/30(金) 21:44
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