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魚の皮を使って傷治療-米FDAが認めたアイスランド発の画期的療法

6/30(金) 12:44配信

Bloomberg

北欧アイスランドには、魚の皮を利用してきた長い歴史がある。「私の祖父の初めての靴はナマズの皮でできていた」と同国のベンチャー企業ケレシスのフェルトラム・シグルヨンソン会長兼最高経営責任者(CEO)は 話す。

シグルヨンソン氏と同氏の小さい会社はここ9年間、この魚の皮を使うという伝統を活用し、治るのに1カ月以上かかる慢性的な傷の治療に取り組んできた。

特にオメガ3脂肪酸など、魚の皮の成分には、治癒を加速させる抗炎症効果がある。乾燥させて加工した魚の皮でできたケレシスの製品は、傷口に当てると、人体の回復で重要な役割を果たすタンパク質とでんぷんの複合体「細胞外マトリックス」のような働きをする。

米国で慢性的な傷に苦しむ人は約650万人に上り、5年生存率は54%と、乳がんの88%を下回る。治療コストは年間250億ドル(約2兆8000億円)を超えているが、高齢化もあって徐々に増加しつつあるというのが現状だ。

米食品医薬品局(FDA)は昨年後半、クレシスの魚の皮を使った治療法 「オメガ3・ウーンド(Omega3 Wound)」を承認した。競合する製品には、豚の腸や牛の胎児、ヒトの最内層の羊膜組織などを原料とするものがある。比較は難しいが、一般的にヒトや動物由来の製品はウイルス性疾患の伝播リスクのため、大がかりな加工が必要であるほか、細菌感染した傷にはあまり効果がない傾向がある。

この点こそが、FDAが承認した唯一の魚由来の代用皮膚であるケレシスの製品のアピールポイントの一つだ。人間と魚の進化的差異のため、疾患の伝播リスクが比較的少なく、加工の必要も少なくなる。シグルヨンソン氏がトロール漁船上で捕獲したばかりの魚を眺めながらこのように主張すると、説得力があった。

原題:Fish Skin for Human Wounds: Iceland’s Pioneering Treatment(抜粋)

Lois Parshley

最終更新:6/30(金) 12:44
Bloomberg