ここから本文です

米国の3%成長目標達成は悲観的、IMFが予測下方修正

7/1(土) 16:40配信

ZUU online

国際通貨基金(IMF)は、米国経済に関する年次審査報告で、トランプ政権が進める減税やインフラ支出が経済成長を3%に押し上げるとの予測を除外し、2017年の経済成長率予測を2.1%と、4月時点の2.3%からさらに0.2ポイント下方修正した。また18年の成長率予測は2.1%と、前回の2.5%から0.4ポイントに引き下げた。

IMFはトランプ氏の3%成長予測について、「年1%を超える成長率を持続的に加速することは不可能だ」との声明を発表した。

■3%成長は公約実現の遅れなどで難しい

IMFは米経済について、「過去3番目に長い景気拡大の中にあり、雇用は持続的に強い」と評価した。しかし、08年の金融危機以降、年2%前後にとどまってきた成長率や、低中所得者を中心に伸び悩む家計所得について、「あまりに低く、あまりに不平等」と指摘。また米経済は、人口の高齢化から生産性の低い伸びまで、さまざまな問題があると指摘。労働市場がすでに完全雇用に復帰した状況にあり、トランプ氏就任以来の公約実現の遅れもあって、3%の成長は難しいとの判断に至った。IMFは所得格差を緩和し、教育や労働参加、税財政改革を促した。

一方、IMFは米連邦準備制度理事会(FRB)について、「雇用最大化」と「物価上昇率2%」の目標を「大筋で達成した」として、利上げ継続や資産圧縮開始を支持した。

■中低所得者保護や保護主義政策を避けるよう勧告

IMFは、金融危機後の米国の景気回復が「低すぎ、格差が大きすぎる」と厳しく指摘した。技術革新による労働市場の変化、生産性の低迷や高齢化など、多くの先進国で見られる長期的な変化に直面していると分析した。さらに賃金の低迷や貧困率が13.5%と先進国の中でも最悪の国に入ることなどの例を引き、中低所得者向けのセーフティーネットの拡充などを提案。貿易政策では、経済に悪影響を与える保護主義的な政策を避けるようクギを刺した。

米国とは対照的に、IMFはアジア太平洋地域の経済見通しでは、2017年の域内総生産(GDP)の成長率を、物価変動の影響を除いた実質で前年比5.5%とし、昨年10月時点から0.1ポイント上方修正している。日本や中国、オーストラリアなどが域内の景気拡大に貢献すると予想した。政治混乱が続いた韓国については予測を下方修正して、17年を2.7%、18年は2.8%としている。

米財務省はコメントを発表し、「政府は米国と世界の双方の経済に利する、持続可能な経済成長の実現を目指している。われわれは税制と規制緩和政策を大幅に改革するとともに、米労働者とってより安定した通商協定の交渉に注力して、より堅固な経済成長と雇用創出につなげたい」(ニューヨークタイムズ紙)としている。(長瀬雄壱 フリージャーナリスト、元大手通信社記者)

ZUU online

最終更新:7/1(土) 16:40
ZUU online