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抗菌薬適正使用へ 「薬剤耐性菌」増加、静岡県内も対策

7/1(土) 8:02配信

@S[アットエス] by 静岡新聞SBS

 細菌感染症に有効なはずの抗菌薬(抗生物質)が効かない「薬剤耐性菌」の増加が世界規模で問題となっている。国が2016年に行動計画を策定し対応を急ぐ中、県内でも医療者、患者双方に対して抗菌薬の適正使用を促すための取り組みが広がりつつある。

 薬剤耐性菌は1980年代ごろから増加し、近年、薬剤耐性を持つ大腸菌が増え、深刻化。また、緑膿(りょくのう)菌や黄色ブドウ球菌などに薬剤耐性が現れている。20年までの国の行動計画では「抗菌薬の不適正な使用が耐性菌を生んでいる」として抗菌薬の使用量を13年の3分の2に減らすとの目標を掲げている。計画に基づき、各医療機関で対策が進んでいる。

 県立こども病院(静岡市葵区)は14年に感染症診療を担当する医師や薬剤師、臨床検査技師らで専門チームを立ち上げた。担当医をサポートすることで、病院全体で抗菌薬の使用量が2割削減し、耐性菌の検出が減った。小児感染症科の荘司貴代医師は「抗菌薬を賢く使う専門知識が要求されるようになった。チームと担当医は子どもの安全を確保しながら治癒を目指すことで意思統一し、互いに専門領域で力を発揮している」と成果を語る。

 静岡厚生病院(同区)はスタッフ向けの勉強会を繰り返し開催。その上で、不必要な処方をなくすために、各抗菌薬の使用頻度を調べて薬剤を整理するなどした。

 今年県内の医師や薬剤師らで発足した静岡薬剤耐性菌制御チームは、県民への啓発を意識する。医師会や行政と連携した情報提供に力を入れるとともに、県内の耐性菌と抗菌薬使用量の実態調査を始める。代表の倉井華子・県立静岡がんセンター感染症内科部長は「抗菌薬は風邪の大半には効果がなく、熱冷ましやせき止めに安易に使うものではない。正しい知識を持ってほしい」と話す。



 <メモ>薬剤耐性菌 抗菌薬が効かない、または効きにくくなった細菌。耐性菌が増えると治療が難しくなって重症化し、命に関わる場合がある。耐性菌による死者は2013年時点で、世界で年間70万人。対策を講じなければ50年には1千万人に増えるとの試算がある。国立感染症研究所によると、大腸菌について、13年時点で抗菌薬「レボフロキサシン」に耐性を持つ割合は約35%、抗菌薬「セフォタキシム」に対しては約20%だった。

静岡新聞社