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国内初「医療ジェット」7月に北海道で実用化 医療の地域格差解消に一手

7/1(土) 7:10配信

乗りものニュース

高度専門医療が受けられない地域の患者を都市部に運ぶ

 北海道で、医療搬送を目的とした小型ジェット「メディカルジェット」の運航が2017年7月30日(日)から始まります。

【写真】「メディカルジェット」の内部

 国内初の実用化というこの「メディカルジェット」は、高度専門医療を受けられない地域の患者を都市部の病院まで運ぶことを目的としています。空路による医療搬送では、いわゆる「ドクターヘリ」が各地で運用されていますが、飛行機による搬送はどのような特徴があるのでしょうか。北海道庁地域医療課に聞きました。

――医療ジェットはどのように運用されるのでしょうか?

 地域の医師からの要請に基づき、必要性を判断したうえで運航します。陸路の搬送も含め、事前に運航計画を作成します。搬送の対象は、道内の病院に入院している、高度専門医療が必要な患者です。

――「ドクターヘリ」と比べてどのような特徴があるのでしょうか?

「ドクターヘリ」は救急搬送が主目的ですが、「メディカルジェット」が搬送する患者は、その地域で受けられない高度な医療が必要な方ですので、そもそも趣旨が違います。ヘリと比べて航続距離、スピードが向上し、機内スぺ―スも広いといった利点があります。

――実現化に至った経緯は?

 2011(平成23)年から2013(平成25)年にかけて、(北海道医師会や自治体などからなる)「北海道航空医療ネットワーク研究会」が研究運航を行い、85回出動しました。その実績を踏まえて国に実用化検討を要望し、2017年度から「メディカルジェット」の運営が支援されることとなりました。なお2017年度は、同研究会に運営を委託します。

北海道の医療事情、「メディカルジェット」でどう変わる?

 研究運航では、患者の傷病の状態から緊急搬送、準緊急搬送、計画搬送と3種類の出動区分に対応し、道外から道内の病院へ、あるいは道内から道外の病院への搬送も行われました。7月からの実運用では、道内における計画的な搬送が想定されています。

 北海道航空医療ネットワーク研究会は、「飛行機はヘリと比べて揺れや騒音が少なく、機内の気圧調整も可能なことから患者の負担を軽減できます。航行速度や航続距離も向上し、天候にも左右されにくい」と話します。重症度が高く、集中治療が必要な患者の搬送にも対応できるそうです。

 研究会の報告書によると、たとえば中標津空港から札幌丘珠空港までジェットを利用し、医療機関どうしの直線距離で374.5kmを搬送したときの所要時間は2時間1分だったそうです。両空港のあいだは、陸路だと5時間以上を要します。北海道では防災ヘリや自衛隊の飛行機による転移搬送も行われていますが、悪天候や本来の業務の関係から要請に応えられない場合もあり、ヘリよりも安定し医療搬送に特化した「メディカルジェット」が有望視されているといいます。

 研究運航は中日本航空(愛知県豊山町)に委託され、セスナ560型「サイテーションV」、ビーチクラフト200型「キングエア」の2機が使用されました。それぞれ機内を改造し、専用ストレッチャー(担架)や酸素供給装置などの医療機器が備えられたといいます。ただ7月からの実運用においては、「機材や拠点空港については、現在調整中」(北海道庁地域医療課)だそうです。

 北海道庁地域医療課は、「公平な受診機会の確保につながる」と期待を寄せています。

乗りものニュース編集部