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B型肝炎の知られざる苦悩 「苦しみは未来永劫続く」

7/1(土) 17:57配信

福井新聞ONLINE

 B型肝炎の当事者にしか分からない苦悩を知ってもらおうと患者本人による「患者講義」が30日、福井県永平寺町の福井大医学部松岡キャンパスで開かれた。北陸地方在住の50代男性患者が「患者の多くは差別や偏見、経済的な苦しみを抱え、さらなる差別を恐れ病気について言えない状況にある。患者に寄り添ってほしい」と医療の道を志す学生に訴えた。

 集団予防接種での注射器使い回しによるB型肝炎ウイルス感染訴訟を起こしている全国B型肝炎訴訟北陸弁護団が、患者の状況を知ってもらおうと、県内で初めて開いた。医学部医学科、看護学科の1年生約170人が受講した。

 男性は18歳のとき、献血時の検査でウイルスキャリアと判明。20歳のころけがで入院したとき、食事をほかの患者と分けて配膳されたり、入浴させてもらえなかったりした経験を紹介し「違和感を覚え、差別だと感じた。B型肝炎で初めて感じたつらさだった」と話した。

 41歳で肝炎を発症。「体が石のように重く、起きるのもつらくなり」入院した。退院後、職場で病気が知れ渡り、接客業だったことから「お客さまを守るための安全安心が不可欠」と退職を余儀なくされた。思うように働けず再就職は困難を極め、妻や子にも負担をかけて離婚することにもなった。

 男性は現在、肝硬変に進行。毎日薬を欠かさず飲まなければならず「ゴールが見えないのは精神的につらい。費用も月に数万円かかる」と話す。さらに「感染していなければ、どれだけ人生は違っていたか。やるせない気持ちになる」と吐露。訴訟では国と和解したが「一区切りでしかなく、肝臓の中のウイルスが除去できない以上、苦しみは未来永劫(えいごう)続く」と述べた。

 ■全国B型肝炎訴訟とは

 1948~88年にかけて国の法律に基づいて行われた集団予防接種の際、注射器が使い回されたことで肝炎ウイルスに感染させられたとして、国に損害賠償を求めた裁判。国の推計では40数万人が感染させられたとみられる。2011年6月、国が責任を認めて謝罪し、症状に応じた給付金を支払うことで原告側と国側が合意した。国内の肝炎ウイルス感染者は350万人いるとされ、このうちB型は110万~140万人。C型は新薬で治療できるようになったが、B型は依然としてウイルスを体内から除去することができない。