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がん検診発見率低く 胃がん4割見落とし「精度向上が重要」/青森県

7/1(土) 11:48配信

デーリー東北新聞社

 青森県は30日、県内で行われているがん検診の有効性を高めるため、2016年度に実施した「がん検診精度管理モデル事業」の結果を明らかにした。県内10町村の11年度のデータを基にした調査で、胃がんは10人中4人、大腸がんは7人中3人が、検診段階でがんを発見できていなかったことが分かった。単年度のみの集計で、県内全体の傾向を反映しているとは限らないものの、調査した弘前大の松坂方士(まさし)准教授は、想定よりもがん発見につながっていなかった、として検診の質を高める重要性を指摘している。

 同日、青森市で開かれた市町村の検診担当者らを集めた研修会で、松坂准教授が報告した。

 調査は県が弘前大に委託して実施。市町村が持つ検診台帳と県が持つがん登録者のデータを照合した。対象としたのは延べ2万5千人。がん検診は、必要のない人が精密検査を受けることで被る健康被害を避けるため、一般的に2割程度の見落としは許容範囲とされている。

 青森県は、がん罹患(りかん)率はほぼ平均なのに対し、死亡率は全国で最も高い。また、検診受診率は全国平均並みだが、診断された時点で進行している症例が多く、早期発見や要精検者の追跡が課題となっていた。

 検診の有効性を高めるには、市町村が検診台帳を正確に記載することや、要精密検査となった人のその後の対応について把握を進めることも重要。胃がん検診で使用するバリウムの濃度や、大腸がん検診の検体の温度などもがん検診の感度に影響するため、検査方法の適正化も必要とみられる。

 松坂准教授は講演で「検診は受診機会の拡大だけでは、早期発見の増加に必ずしも結び付かない」と精度管理の重要性を強調した。

 取材に対し「これまで受診率が第一の指標だったが、質の高い検診を提供し、その上で受診率を上げるのが死亡率を下げる唯一の道。今回の結果が、質を重要視するきっかけになれば」と話した。

 県は17年度も同様の事業を展開する方針で、がん・生活習慣病対策課の嶋谷嘉英課長は「対象の母数を大きくすることも考えていきたい」と引き続き取り組む姿勢を示した。

デーリー東北新聞社