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鹿を狩る女性たち ー 日本の農地は私たちが守る

7/1(土) 21:10配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

日本では、猟に出る前の男性に女性が声をかけることがタブーとされていた時期があった。しかし、今では政府の要請もあって、銃を手にした女性の猟師が増加し始めている。

【画像】森でカモを撃つ猟師ハタ・マサミさん。石川県白山市の外れにて

過去10年、日本の農業は最大で年間1億7000万ドル(約189億2200万円)の「害獣」被害に遭ってきた。野菜などの作物を食べる動物の中でも、特にシカとイノシシが急増しているためだ。農林水産省は、「害獣」の数の抑制と農家の保護のために猟師たちに協力を求めている。

その一方で、高齢化や農村の過疎化により男性の猟師は減った。現在、各地の猟友会や地方自治体は、女性の積極参加を促している。

東京を拠点に活動しているドイツ人写真家トーマス・ペーター(Thomas Peter)氏は、2016年後半、ロイターの取材で新進気鋭の女性猟師たちに密着した。

日本で狩猟者登録を行っている猟師のうち、女性はわずか1%強。

しかしそんな状況もすぐに変わるだろう。猟師という仕事はこれまでは男性の世界であったが、ロイターの報道によると、今では日本の地方自治体はソーシャルメディアを通じて女性猟師を募集している。

地方自治体にとってはとにかく手が足りない。1990年代後半以降、日本に生息するシカの数は40万頭未満から300万頭超に増加した。

環境省やロイターの報道によると、イノシシも同時期に約50万頭から100万頭に増加している。

害獣による作物被害は、最大で年間1億7000万ドル(約189億2200万円)にのぼる。

農林水産省は、柵を作って動物を森に追い返すようにして、駆除する数を最小限にしているとロイターに語った。

「しかし、それでは不十分だった」と当局の担当者は述べた。そして狩猟は「健全な生態系の維持」のためにも必要なのだ、と付け加えた。

女性たちを追ってみよう。

児玉千明さんは20代後半の美容師兼町議。ずっと猟師になって自身の農地や農作物を守りたいと考えていた。そして2014年、免許を取得した。

児玉さんは、猟師を目指す女性たちを誘って一緒に狩りに出かけ、実地訓練を行っている(女性向けのより正式な狩猟教室やツアーも日本全国で開かれている)。

写真家トーマス・ペーターさんが同行したある日、児玉さんは友人を連れて福井県大飯郡の外れにある森へ猟に出かけた。児玉さんがシカを撃ったところ、シカは走って逃げ出した。

児玉さんとその友人であり生徒の福野葵さんはさっきのシカを追跡して木々の間を進み、倒れているシカを見つけた。福野さんは、児玉さんがシカの内臓を取り去って、川で血抜きする様子を眺めていた。

2人は仕留めたシカを運んで、トラックに載せた。「免許を取るために教科書で読んだことを、ついに自分の目で見ることができてわくわくしています」と福野さんはロイターに語った。

女性猟師たちは、あらゆる方法で、増えすぎた動物を有効活用しようとしている。長田富士子さんは、白山にある自分の工芸教室でシカの皮から財布を作っている。

猟師であり母親でもある長田富士子さんが、自分で仕留めたイノシシの皮を剥いでいる様子。

長田富士子さんと夫の泉さんは、仕留めた獣の肉をソーセージに加工して、自分たちが営むカフェで出している。野生のイノシシの肉は、豚肉と牛肉のハイブリッドのような味。ジューシーという評判だ。

女性の猟師が増えることによって、シカやイノシシの数が減っているのかどうかはまだ分からない。ある農家はロイターの取材にこう語った。自分の農地にとって助けになるなら、男性でも女性でも歓迎する、と。

狩猟は、もはや「男の世界」ではないのだ。

[原文:Japanese women are entering the male-dominated world of hunting - at the government's request]

(翻訳:Kamada Satoko)