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ポケベルに自治体注目 つながる電波、防災に活用

7/2(日) 4:00配信

茨城新聞クロスアイ

「0840(おはよう)」「4649(よろしく)」-。1990年代、語呂合わせの数字メッセージが若者の間で大流行したポケットベル(ポケベル)。建物内や地下でもつながりやすい特性が見直され、東日本大震災後、防災分野でポケベル電波を使った情報提供システムを導入する自治体が増加。県内では坂東、神栖の2市が防災ラジオを導入している。専用端末に文字や音声で緊急情報が流れ、避難指示などを住民に伝えるのに効果的なためで、今後も注目を集めそうだ。

自治体が災害時の緊急情報を伝える手段は、現在、防災行政無線が主流。60メガヘルツの周波数帯の電波を使い、屋外スピーカーで放送するが、2015年の常総市の水害では防災行政無線の音が「雨音で聞こえない」と多くの住民から苦情が寄せられ、課題となった。

各家庭に任意で設置する戸別受信機も1台3万~5万円の価格が壁となり、普及が進んでいない。建物内で電波状態が悪いと作動しないこともあり、確実に緊急情報が伝わるか不安も指摘される。代替手段として携帯電話の一斉メールを送信する自治体もあるが、高齢者など携帯を持たない人には伝わらない。そこでクローズアップされたのが、建物内や地下での受信に強い280メガヘルツの周波数帯のポケベル電波だ。

国内で唯一、サービスを展開している東京テレメッセージによると、この電波を受信できる据え置き型の専用端末は、防災行政無線の戸別受信機(縦20センチ、横25センチ程度)とほぼ同じサイズで、価格は2万円程度。どこに置いてもつながりやすく、自治体が発信した緊急情報を端末に文字で表示できるほか、音声に変換することもできる。

同社によると、5月末時点で12都県の21市区町がこのシステムを導入済みか、近く導入を予定。清野英俊社長によると「震災後に各地の自治体から問い合わせや受注が増えた」という。

坂東市は昨年11月に開庁した新市庁舎に無線アンテナと送信機を設置し、ポケベル電波を使った防災ラジオの放送を開始。市交通防災課によると、荒天時など電波状態が悪くても室内で放送を受信できることから導入を決め、市内全域をカバーできる280メガヘルツの強い電波も利点という。

1台約1万7千円の8割ほどを市が補助し、市民の負担は3千円(1台目)で済む。これまで約5千台を配布し、学校を含む公共施設にも配備済みだ。

昨年末に発生した地震の際に放送した以外は、ニセ電話詐欺への注意や不審者など防犯に関する放送が多いというが、同課は「ゲリラ豪雨などの際に活躍してほしい」と期待する。

神栖市も防災行政無線の難聴地域解消に向け、15年に新型防災ラジオの情報配信システムを導入した。市民は1台2千円で購入でき、公共施設への配布を含め、これまでに1362台が利用されている。

市防災安全課は導入のメリットとして、外部アンテナを設置しなくても市内全域で受信可能▽災害時に携帯できる-などを挙げ、「今後、市民への利用を周知していきたい」としている。

茨城新聞社