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棋士引退・ひふみん 藤井四段効果だ!年収1億円

7/2(日) 11:03配信

東スポWeb

 空前の“藤井四段ブーム”でウハウハなのが、30日に現役引退会見を行った「将棋界のレジェンド」加藤一二三・九段(77)だ。個性的なキャラクターから「ひふみん」の愛称で親しまれ、テレビ各局から出演オファーが殺到。ギャラ交渉は自ら行い、会見では自伝の出版構想もブチ上げた。商魂のたくましさは折り紙付きで、このままいけば年収は1億円に迫るとも…。そんなレジェンドから後継者指名された藤井聡太四段(14)に「“ひふみん化”しないで!」と真顔で心配する声も上がっている。

 史上最年少プロ棋士で、歴代単独1位の29連勝を達成した藤井四段に日本中が沸いている。関連グッズは瞬時に売り切れ、テレビで取り上げれば軒並み高視聴率を記録。対戦相手にも注目が集まり、将棋界は空前のフィーバーに包まれている。

 そんな“藤井四段ブーム”に乗って、大ブレーク中なのが、6月20日の対局で現役引退したひふみんこと加藤九段だ。将棋界で60年以上、プロ棋士として活躍してきたレジェンド中のレジェンド。史上初の中学生棋士として最年少記録となる14歳7か月でプロ入り。16年に藤井四段が14歳2か月でプロ入りするまで62年間にわたる記録だった。「名人」などのタイトルを合わせて8期獲得した。通算勝利数は歴代3位の1324勝。すごいのは経歴だけではない。

「個性的なキャラクターもあり、各局から引っ張りダコ。すでに半年先までスケジュールは埋まっているそうです。ツイッターでメディア対応の案内を告知し、ギャラ交渉も自分でやっている」(テレビ関係者)

 また別のテレビ関係者は「各局のギャラを比較し、将棋さながらに担当ディレクターに揺さぶりをかけている」という。

 文化人枠での出演のため、ギャラは1回数万~十数万円ほどが相場だが、このほどギャラの跳ね上がるタレント枠での出演を希望し、複数の芸能プロが接触済みとの情報もある。

 この日行われた引退会見では、仙台白百合女子大の客員教授に就任したことも発表された。教壇に立つだけでなく、講演なども行っていく予定で、出演オファーも殺到しそうだ。

“ひふみんワールド”全開だった会見では、棋士人生を振り返り「私は1324回勝ってますけど、そのうちの90%は名局なんですね」と自賛したうえで「バッハやモーツァルトの名曲が今でも世界中の人々に大きな喜びを与えるのと同じように、私の名局は、価値あるものとして300年たっても残っていく自信があります」と豪語。レジェンドでなければ、なかなか言えない言葉だ。

 終盤には「勝った1000以上の将棋を私の義務として、誰からも注文がなくても本に書いて伝えていく義務があると思っています。5年あたりぐらいで書いていくつもりでおります」と自伝出版をアピール。これを聞いた出版社がこぞってオファーしそうだ。

 テレビ出演、講演会等のギャラを含め、CM出演も決まれば、今年の年収は1億円に迫る勢いだ。近年、勝利数が激減し、年収は数百万円程度まで落ち込んでいたとみられるが、藤井四段の登場でひふみん自らが「藤井特需」と話すように再びスポットライトを浴びた。長年、将棋界に貢献してきたレジェンドだからこそで、ある意味“慰労金”ともいえる。

 藤井四段については「秀才型の天才。いまのところ欠点が一つもない」と絶賛。自身と入れ替わるように登場したことに「非常にうれしいことです。将棋界の未来は明るい。私は心安んじて引退できます」と後継者に指名した。

 ただ、引退したとはいえ、藤井四段への対抗心はまだ残っている。テレビ局やネット番組の企画で2人の特別対局も企画されている。非公式戦だが、藤井四段の連勝をひふみんが“止める”ようなことがあれば、また話題をさらうことは必至だ。

 一方で、藤井四段にとっては、ひふみんとの交流は光栄なことだが、今後の成長を見据えるうえで「金銭面ではひふみんほどプロになってほしくない」と心配する声も上がっている。将棋連盟関係者の話。

「29連勝を飾った前回の対局料は46万円、2日の次戦は52万円、竜王への挑戦権がかかる三番勝負では450万円が支払われる。竜王を倒せば4320万円、敗れても1620万円の賞金が出ます。ほかにも連盟から支払われる給料やイベント出演料、CMに出演すればそのギャラも加わる。一般の中学生とは比べものにならない大金を手にすれば、金銭感覚がおかしくなる可能性もある」

 幸いなことに藤井四段の頭の中は今のところ将棋一色で、物欲はゼロ。財布は中学生ならではの“マジックテープ”式で「唯一欲しいものは個人用のノートパソコン。AI将棋をいつでもどこでもやりたいからのようです」(前出テレビ関係者)。

 ひふみんから“家計簿のつけ方”の指南を受けるのは、もう少し先でも遅くない。

【数え切れない「ひふみん伝説」】

 そのマイペース過ぎる人柄で数え切れないほどの伝説を築いた加藤一二三九段。中でも将棋界で語り草となっているのが「滝を止めた」伝説だ。箱根の旅館「天成園」の名物である人工滝の音が気になって対局に集中できなかったひふみんは、なんと滝を止めてしまったという。

 対局環境への並々ならぬこだわりは引退が決まった一局でもみられた。6月20日の「第30期竜王戦6組昇級者決定戦」(高野智史四段戦)でモスグリーン色の座布団がお気に召さず青い座布団に勝手に交換。過去にインタビューで「モスグリーンじゃ闘志が湧かない」と不満を漏らしていた。

 5月26日にNHK「あさイチ」にゲスト出演した際には、有働由美子アナウンサー(48)に「歯が抜けているのに、なぜ入れ歯を入れないのか?」と聞かれ、15年ほど前に入れ歯をつけて対局に臨んだが、「入れたら頭の回転が止まってしまったから。あの時が人生最大の危機だった」と芸人並みの回答で笑わせた。

 対局室の温度管理にも敏感で夏場の対局では、寒がりの三浦弘行九段との間で冷房のリモコンを奪い合う盤外の“冷戦”を繰り広げた。一方、自前で持ち込んだ電気ストーブを親切心で神谷広志八段に向けたところ「顔が熱い」と怒られた。

 敬虔なカトリック教徒でもあるひふみんは対局中でも賛美歌を口ずさんだり、祈ったりと、独特の“ルーティン”で関係者をビックリさせた。こんな愛されキャラだが、過去には師匠を“破門”した前代未聞の珍事も。もともと家族ぐるみで交流のあった南口繁一九段の門下だったが師匠の死後「世話になっていない」として剱持松二八段の門下に“移籍”した。

 大の猫好きでも知られ、東京・三鷹市の集合住宅の自宅庭でノラ猫に餌を与えていたが、近所からの糞害や車を傷つけられるなどの苦情を聞き入れなかったため、2008年、餌やり中止を求めた住民訴訟を起こされ敗訴。将棋以外の戦いには向いていなかったようだ。

最終更新:7/2(日) 11:03
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