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任天堂、8年ぶり株高 「スイッチ狂騒曲」はまだ始まったばかり

7/2(日) 12:50配信

ZUU online

任天堂 <7974> が東京市場の中心銘柄となっている。6月27日には3万9530円と年初来高値を更新し、4万円に迫った。08年10月以来8年8ヶ月ぶりの高値だ。新しいゲーム「ニンテンドースイッチ」への強烈な期待感を背景としたもの。

■「ポケモンGO狂騒曲」の高値をあっさり抜く

16年7月に「ポケモンGO」のダウンロード開始とともに、世界中のApp Storeでダウンロード数が軒並みトップとなり、社会現象が起きた。任天堂の株価はダウンロード開始後、1週間で2倍となり7月22日に3万2700円をつけた。

東証での出来高も週間で東証史上過去最大の9251万株と歴史的な大商いを記録した。任天堂の一日平均出来高の約半年分を1週間でこなしてしまった。ポケモンGOは、その人気とは裏腹に収益への貢献が思ったよりも大きくないことが明らかになり、株価は8月5日に2万100円まで急落した。大商い後の急落だけに株価は戻りでは大きなしこりとなり、3万2700円を簡単に抜くのは難しいだろうと思われていた。

■任天堂の売上はピークから73%減、営業利益は95%減

実際、17年3月期の決算でポケモンGOの収益は持ち分法利益として営業外で167億円の特別利益を計上するにとどまった。17年3月期の決算は、売上が3%減収の4891億円、本業の利益を示す営業利益は11%減の294億円と減収減益だった。

同社株価の過去最高値は07年11月の7万3200円。06年12月に「任天堂Wii」を発売し、Wiiが世界的に大ヒットしていた時期だった。同社の過去最高売上、過去最高益はWiiの好調がフルに寄与した09年3月期で、売上は1兆8386億円、営業利益は5553億円だった。売上はその後9期連続減収で17年3月期の水準はピーク比27%だ。17年3月期の売上は、09年3月期の営業利益より少ない。営業利益は12年3月期から14年3月期まで3期連続で赤字を計上、15年3月期から赤字を解消したが、17年3月期実績はピーク比でたったの5%の水準まで落ち込んだ。

■3月3日発売のニンテンドースイッチが早くも100万台超え

ポケモンGO狂想曲の祭りの後の株価下落をすくったのが、任天堂が勝負をかけて発売した、据え置きとモバイル両対応の新型ゲーム機「ニンテンドースイッチ」だった。

発売されたのは17年3月3日。対応新作ソフトの「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」の好評もあって、販売店では入荷即売り切れの状態で品不足がつづいている。ゲーム総合メディアのファミ通は6月28日、ニンテンドースイッチの国内推計累計販売台数が6月25日までの17週間で100万台に達したと発表した。過去の据え置き型ゲーム機と比較しても、最速ペースのようだ。

グローバルでも好調。任天堂は17年3月期の決算時に、3月末時点でスイッチの発売台数は274万台となり、546万本のソフトを売ったと発表した。会社の予想だった200万台を大きく上回っている。まだ品不足ながらも、世界各国でソニーのPS4や任天堂の旧機3DSを上回り、トップセールスのゲーム機になっているようだ。18年3月期については、グローバルで1300万台の販売台数を予想している。

■ビッグタイトルがスイッチ売上を加速

4月には「マリオカート8」、7月には「スプラトゥーン2」、10月には「スーパーマリオ・オデッセイ」といったビッグタイトルが予定されている。「どうぶつの森」などファミリー層向けのソフト開発も前倒しで進められているようで、推定販売台数を底上げしている。ポータブル性が高いため、「一家に一台」でなく「一人一台」のシナリオもあり得るという見方だ。

みずほ証券では、今期の発売台数を1350万台とし、来期を1900万台と予想しており、ライフ(約6年)での累計販売予想を今までの5000万台から6500~7000万台としたようだ。

■会社予想の売上53%増収、2.2倍の営業増益はすでに大幅上方修正

任天堂の今期の会社予想業績は、売上は53%増収の7500億円、営業利益は2.2倍の650億円。E3などのゲームショーでのアナリストの感触は極めて高く、アナリストのコンセンサス予想はすでに売上で前期比90%増の9288億円、営業利益で同4.2倍の1222億円に上方修正されている。

会社予想に対し、売上で1788億円増、24%の上方修正、営業利益で572億円増、88%の上方修正となっている。ユーザーからの評判も高く、任天堂がスイッチの普及に自身を深め、本格的にハードの増産に向かったことを評価しているようだ。

すでにスイッチの半導体を提供している会社や部品を提供している会社、組み立てを委託されている会社などにも特需が生まれているとの報道もあり、株価も動き始めた企業もある。「スイッチ狂騒曲」は始まったばかりだ。

平田和生(ひらた かずお)
慶應義塾大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。国内外機関投資家、ヘッジファンドなどへ、日本株トップセールストレーダーとして、市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスをおこなう。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。

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最終更新:7/2(日) 12:50
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