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本音を語り始めたヘンリー王子、好かれる人間性と自由ゆえの危うさ

7/2(日) 10:00配信

The Telegraph

【記者:Hattie Garlick】
 これはこれは、ヘンリー王子(Prince Harry)。ついにやりましたね。礼儀や威厳、生まれながらの自制心はどうしました?

 米ラスベガス(Las Vegas)のホテルで裸になって尻をさらけ出すことと、権力相手に率直に真実を語ることはまったくの別物。ただ、米誌ニューズウィーク(Newsweek)とのインタビューで「英王室メンバーで王になりたい人はいない」と語ったあなたの告白は、完全な真実ではないのでは?

 68歳のあなたの父上(チャールズ皇太子)はこの何十年も、ますます染みが増えた手をピンと上に伸ばし、しわがれた声で「私を選んで! 私を選んで!」と叫んできた。しかし、どうやら王室ではそうはすんなり事が運ばないようだ。

 だからこそ、あなたと兄のウィリアム王子(Prince William)が英国の君主制を現代的なものにしようとしているというあなたの大胆な意見は、良くて王室の正体暴露、悪ければ王室の崩壊を感じさせる。しかし、こうしたこともすべて含めて、私たちはあなたのことがまた少し好きになるのだ。

 いくら失態を犯しても(ラジオの生放送で「arse(ケツ)」と発言したり)、いくら軽率に感情を爆発させても、大目に見てしまう。私たちには「生身」の自分をさらけだしているところを公にされることもないのだから。

 ネット上で他人への誹謗(ひぼう)中傷や名誉を傷つける行為があふれる時代にあって、あなたはたった一人でソーシャルメディアという炎の中を無傷でくぐり抜けているかのようだ。

 ヘンリー王子が心の内を率直に打ち明けたことに私たちの情が沸くのは、厄介な真実を浮き彫りにしている。私たちが忠誠心を感じるのはもはや王室の称号ではなく、人格ということだ。

 チャールズ皇太子(Prince Charles)はカミラ夫人(Camilla, Duchess of Cornwall)を除くほぼすべての人との関係がうまくいっていない。良くも悪くも、たいていの人が抱いている皇太子のイメージは、変わり者で気難しく、大臣宛ての書簡を繊細な文字で書いているか観葉植物相手に独り言をつぶやいて日々を過ごしているといったものだ。

 でもこの評価は、恵まれない若者を支援する基金「プリンスズ・トラスト(The Prince’s Trust)」を創設し、環境問題のための活動をたゆまず続け、有機農業を推進し、社会における建築の役割について説いてきた人物に対するものとして公平だろうか?

 いや、公平ではない。だが、こう反論する人もいるだろう。世襲によって生まれながら特権と富が与えられたきらびやかな生活を送ることは、公平といえるだろうか、と。

 ヘンリー王子はニューズウィークのインタビューで、「王室のメンバーで王や女王になりたいと考えている人がいると思うか? 私はそうは思わない。ただ、私たちは適切な時期に義務を果たしていく」と語ったが、明らかに父親のことは見て見ぬ振りをしている。

 これに続くヘンリー王子のコメントはよりあからさまだ。

「君主制は善いことのための力であり、私たちはエリザベス女王(Queen Elizabeth II)が60年以上かけて築いた前向きな雰囲気を継続させたいと思っている。でも私たちは彼女の重責を引き継ごうとはしない」

 ヘンリー王子はもう32歳で、かつてのような奔放なひよっこはないが、若者らしい発言だと思う。とりわけ彼は米女優のメーガン・マークル(Meghan Markle)さんとの結婚を真剣に考えているようだからなおさらだ。離婚経験のあるマークルさんは、キャサリン妃(Catherine, Duchess of Cambridge)がウィリアム王子と結婚したときの年齢よりもずっと年上だ。

 ウィリアム王子とヘンリー王子の世代と、30年ほど前のチャールズ皇太子と弟のアンドルー王子(Prince Andrew)の時代とで、非常に似ている点がある。王位を継ぐ者は慣習に従うことが期待され、そうでない者は自由に行動することが許されるところだ。【翻訳編集】AFPBB News

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最終更新:7/2(日) 10:00
The Telegraph