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盲導犬めざす子犬を1年だけ預かる… 初めて犬を飼った家族の大きな変化

7/2(日) 10:01配信

sippo

「この世にこんな切ないことがあるなんて。部屋が妙に広く感じます。『サンディ』はがんばって訓練しているのかしら」

【写真特集】サンディと過ごした1年間


 東京都内のマンションに住む高井明子さん(42歳)が、リビングを見渡して言う。高井家は、夫・悦裕さん(42歳)、長男・龍大(たつひろ)君(11歳)、長女・梨花子ちゃん(8歳)、次女・恵ちゃん(5歳)の5人家族。今年3月11日までは、ラブラドール・レトリーバーの「サンディ」も家族の一員だった。

 サンディは盲導犬の候補生。昨年3月、生後2カ月で高井家にやってきた。高井家が、1歳に成長するまで盲導犬を目指す子犬を世話するボランティア「パピーウォーカー」を日本盲導犬協会から引き受けたのだ。しかし、いきさつは意外なものだった。

「子どもたちが前から犬を飼いたがっていたのですが、私が踏み出せなかったんです。世話をするのは、結局は私。実はもともと動物が苦手で、責任を持って最後まで飼えるか自信がなかったんです。そんな時に主人が雑誌でパピーウォーカーの記事を読んで『どうかな』と提案されて、期限が1年とあったので、それなら大丈夫かなと思って、応募したんです」

 協会にも規定があった。居間にケージ(犬が寝たり留守番をするハウス)とトイレのサークルを置けること、犬をひとりぼっちにさせないこと、先住犬がいないこと……それらをクリアした高井家に、パピー犬の委託が決まった。だが明子さんにすれば、1年間という期限があることが“決め手”だった。四季を通して1年の思い出が作れるし、奉仕活動につながる……。

 昨年3月26日、子犬を迎える委託式の日がやって来た。

「出会いの日が、私たちの結婚記念日だったので、縁を感じましたね。当日になって初めて、家に来る子犬がメスで色がイエローだとわかりましたが、思った以上に可愛いくて、子どもたちは奪い合い(笑)。その日から我が家の生活が一変しました」

 最初は大変だった。特にトイレのしつけ。サンディは排泄しそうな時、そわそわと回るので、その時にトイレのケージに移し、トイレシーツに乗せて「ワン、ツー」と号令をかける。ワンが排尿で、ツーが排便だ。これは盲導犬になった時にも続く重要な合図。最初が肝心だと、パピーウォーカーの先輩に聞かされ、明子さんは必死に世話をした。

「タイミングを間違えると、ウンチまみれ。人間の赤ちゃんだとオムツを着けるし、こちらのペースでできるから、3人の子育ての方が楽だった(笑)。夜鳴きもするので、はいはいと起きる。でもそのたびに、そばに行くと、鳴くのが習慣になるし。悩んでしまい、私もやせました」

 子どもたちは学校などから帰宅すると、まず『サンディは?』と聞き、一緒に過ごした。末っ子の恵ちゃんの人形のバギーに入れて動かしたり、梨花ちゃんと一緒に昼寝をしたり。龍大くんは「クラス替えで、仲よしと離ればなれになった」と泣いて帰宅した時、サンディをぎゅっと抱きしめていたという。

 サンディがトイレを覚えて落ち着いてくると、明子さんの苦労も減った。

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最終更新:7/3(月) 9:46
sippo