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もち米 過剰感深刻 加工用の増産影響 制度運用に課題も

7/2(日) 7:00配信

日本農業新聞

 もち米の需給が大きく緩んでいる。2016年産で転作扱いとなる加工用もち米の作付けが急増したことが要因。そのあおりで主食用もち米が売り先を失い、市中に安く出回っている。実需者も在庫を必要以上に抱えており、このままでは17年産の取引まで引きずることが必至だ。

 16年産の生産量は約24万トン(農水省公表の検査数量ベース)で、供給過剰となった12年産を上回る水準だ。うち主食用は平年並みだったが、加工用は5万9000トン(取り組み計画ベース)と前年比で2割以上増え、この5年間で倍近くに拡大した。千葉や秋田などを中心に増産が進んだ。

 加工用は生産者が助成金を得られることで、主食用より取引価格が安くなる傾向だ。「実需者が値頃なもち米の手当てを優先したことで、高値の主食用がはじき出された」(全国餅工業協同組合)という。市中の取引価格を見ると、出回りの増加が目立つ千葉「ヒメノモチ」は15年産は60キロ1万5000円前後だったが、16年産は序盤から下げが進み、現在は1万円ほどに低迷している。

 餅や米菓などの原材料になるもち米は鮮度があまり求められない。「安値となった今、必要以上に手当てし、来年産の需要を先食いしている」と米菓メーカーは明かす。

 17年産は生産を抑える動きも産地に一部あるが、過剰感が解消されるほどではない。業界関係者によると、JA全農の今年10月末現在の持ち越し在庫見通しは5万6000トンで適正水準とされる2、3万トンを大きく上回る方向だ。

 これまで主食用もちは、産地が全農などを通じて実需者と複数年契約を結ぶなどして多く取引され、販売の基準価格は近年据え置いてきた。米穀の安定取引のモデルと言われてきたが、ここにきて加工用の増産が影を落とす。主食用もち米産地は「生産を絞っても、加工用の供給過剰がなくならない限り、相場は下げに誘導される」(東北のJA)と課題視する。

 加工用もち米の作付けは、新規需要向けに取組計画を提出した場合が対象で、実需は主食用米からの置き換えでの使用はできない。もち米製品自体の生産量が伸び悩む中で、作付けだけが拡大している状況から、制度運用に懐疑的な見方が出ている。同省は「包装餅といった新商品に加工用もち米を使うメーカーが増えている」(農産企画課)とみるが、全容を把握し切れていない。

 もち米相場は前年産の終盤価格を引きずるため、17年産価格も低迷しそうだ。このままでは比較的高値に映る主食用もちの取引を支えていた複数年契約といった取り組みが「崩れかねない」(東日本のJA)。18年産からの米政策改革に向けて一層の安定取引が求められるため、現場に不安感が広がっている。

日本農業新聞

最終更新:7/2(日) 7:00
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