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「メルカリうまい、トヨタ存在感なし」なぜ日本企業はシリコンバレーで失敗するのか ー 元米Yahoo!VPの日本人女性に訊く

7/2(日) 8:10配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

Facebookやアップル、グーグルといった超一流のIT企業から、創業間もないベンチャー企業まで乱立するIT企業の聖地・シリコンバレー。日本企業も多数進出しているものの、この地で大きく成功した例は少ない。

【画像】左から渡辺千賀、奥本直子。BUSINESS INSIDER JAPAN編集部にて撮影。

大企業からスタートアップ企業まで、なぜ日本企業はシリコンバレーで存在感を示せないのか? シリコンバレーで日本企業を支援する女性2人に直撃した。

1人は奥本直子。元米Yahoo!社員で、国際的なビジネス展開を行う部署のバイスプレジデントまで務めた経歴を持つ。もう1人は日米進出をサポートするコンサルティング会社Blueshift Global Partners創業者の渡辺千賀。現在、渡辺と奥本はBlueshift Global Partnersで日本企業の海外進出・ビジネス開発などをサポートしている。

奥本直子

米マイクロソフトなどを経て、米Yahoo!本社にてインターナショナルプロダクト&ビジネスマネジメント部門のバイスプレジデントとしてYahoo! Japan、Yahoo!7を担当。 2014年より、べンチャー・キャピタルのWiLの創業に参画。2017年に独立し、Blueshift Global Partnersに参加。

渡辺千賀

三菱商事の営業部門に女性初の総合職として入社。米国べンチャーへの投資に携わるなどしたのち、 マッキンゼーで大手電機メーカーのインターネット戦略などを手がけた。 現MITメディアラボ所長の伊藤穰一氏のもと、べンチャーの投資・育成に従事した経験もある。2000年に渡米し、Blueshift Global Partnersを創業。

なぜ日本企業は失敗するのか? 2つの“シリコンバレーあるある“

奥本は現地企業の社員として、渡辺は日米間のパートナー関係を支援する立場として、長年シリコンバレーから日本企業を見てきた。彼女らにとって「うまくいかない理由」は明快で、“シリコンバレーあるある“のように言語化されている。

“あるある その1“は、「企業の規模にかかわらず、シリコンバレーに出て行くタイミングと、求めるものが間違っている」ことだと、渡辺は鋭く指摘する。

「シリコンバレーで3億円くらい調達したい、という相談はよく聞きます。でも、そもそも10~20億円程度までなら、実は日本で集めた方が簡単なんですよ。シリコンバレーは確かにエンジェル投資家やベンチャーキャピタルは多いかもしれない。でも、ベンチャーも何十倍もいるから、熾烈な数の競争の中でお金を集めることになる。むしろ難しいです」

“あるある その2“は「上場してからシリコンバレーに来ること」。たとえば2000年代前半に一斉を風靡したSNS企業のmixiのような企業もその一例かもしれない。シリコンバレーの起業家の間では「上場したらなかなか人が雇えない、(ストックオプションの売却で)人が辞めてしまうから、上場のタイミングは慎重に判断する」という共通認識がある。

上場して株価がオープンになることは、社内の士気にも影響する。株価の上下に社員が一喜一憂してしまうからだ。小規模な組織で、チーム一丸となって苦しい局面を乗り越えていかなければいけないスタートアップにとって、集中を阻害する“ノイズ“は避けなければならない。

さらに、現地のプログラマーたちから見れば、シリコンバレー進出企業の最も注目度が高い時期というのは、「これから大規模調達をして飛躍する」というタイミングでの入社だ。うまい具合にストックオプションが得られる時期に参画できれば、全力で働いた見返りが、大きな資産となって返ってくるからだ。自身のキャリアにとっても、「あの有名企業の上場を支えた」という経験は得難いものになる。

上場後でのシリコンバレー進出は、こうした「社員にとってのうまみ」がまったくない企業と見なされてしまうというわけだ。

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