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男児誘拐殺害から14年 元少年の同級生「今も信じられない」 心を整理できず

7/2(日) 12:00配信

長崎新聞

 2003年に長崎市で起きた男児誘拐殺害事件は1日で発生から14年。4歳の男児を連れ去り、殺害した中学1年の少年=当時(12)=は既に社会復帰している。元少年の同級生の男性(26)は、記憶の中の少年と残忍な事件が結び付かず、「今も信じられない」と心を整理できずにいる。

 元少年と男性は、小中学校時代の同級生。男性は、元少年のある出来事をよく覚えている。

 小学5年の時、元少年は“逃走事件“を起こした。体育の着替え中、教員から忘れ物を叱責(しっせき)されてパニックになり、下着1枚の姿で校舎の外に飛び出した。「変わった子だなと思った」と男性は振り返る。

 中学に上がると、元少年は成績が良く目立った。おとなしい性格で、休み時間は図書室で「三国志」の漫画を読んでいた。手先が不器用で家庭科の授業で「玉結び」ができなかったことや、足が遅いことを周囲によくからかわれていた。

 「クソ」。男性は元少年が小声でそう吐き捨てるのを聞いたことがある。「逆らったり反抗したりすることはなかったが、ストレスをため込んでいたのかもしれない」と男性。

 中学生になって初めての夏休みが近付いていた頃、事件は起きた。

 7月1日夜。長崎市の家電量販店で4歳の男の子が誘拐され、2日朝、同市中心部の立体駐車場で遺体となって発見された。高さ20メートルの屋上から突き落とされたとみられていた。男性は「ひどいな」とは思ったが、関心は一時だった。多くの子どもたちにとって事件は、遠い世界の出来事だった。

 事件は未解決のまま、1週間が過ぎた。学校の周りを刑事がウロウロしている-そんなうわさが流れた。マスコミは「犯人は学生か」と盛んに報じていた。男性は友人と「俺らの中に犯人がおるわけなかとにね」と笑い合った。だが-。

 9日朝。職場見学の日。元少年を含むグループの待ち合わせ場所に突然、警察官がやって来て元少年を連行した。その場にいた他の子どもたちは動転した。「待ってください」と泣きながら警察官を静止しようとする生徒もいたという。

 職場見学はさみだれ式に解散となり、当日も翌日も学校側から事件について正式な説明はなかった。ただ机が一つだけ空いているクラスがあった。「まさかあいつが捕まったのか。何かの間違いだろう」。男性は言葉を失った。

 「犯罪者を出した学校」と陰口をたたかれ、興味本位で元少年のことを尋ねてくる人もいた。学校の重苦しい雰囲気は結局、卒業するまで続いたという。

 成人式。懐かしい仲間が顔をそろえたが、誰も元少年のことを話題にはしなかった。事件から14年。かつての同級生たちの多くは、疑問や後悔や怒りなどさまざまな感情にふたをしたまま、日々を過ごしてきた。

 男性は、事件の深層などを取材した本紙出版の本「闇を照らす」を読み、胸の内を語りたくなったという。

 「元少年に会いたいか」と尋ねると、男性はこう言った。「会いたいですね。元気だったか、ってそれぐらいしか、たぶん聞けないと思うんですけどね」

長崎新聞社

最終更新:7/2(日) 12:49
長崎新聞