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「みちびき」打ち上げで何が変わる? 「日本版GPS」衛星、その効果は

7/2(日) 15:10配信

乗りものニュース

日本による、日本のための衛星

 2017年6月、「日本版GPS」とも呼ばれる人工衛星「みちびき」の2号機が打ち上げられました。

【表】「みちびき」今後のスケジュール

 この「みちびき」は、ふだん携帯電話やカーナビなどの位置情報取得に利用されているGPS(Global Positioning System、全地球測位システム)を補完するものです。GPSはアメリカの衛星を利用したものですが、「みちびき」は日本政府の主導による、主に日本での利用を想定したシステムであり、初号機は2010(平成22)年に打ち上げられています。

 31機あるGPS衛星は地球全体に配置されており、時間帯や場所によってその場から見える衛星の数が少なくなることから、測位の精度が乱れることがありました。これを補う「みちびき」は「準天頂衛星」と呼ばれ、日本の真上(天頂)を通る軌道を描き、日本から常に見える衛星の数が増えることから、安定したサービスが受けられるといわれています。

 これにより、私たちの生活はどう変わるのでしょうか。内閣府の準天頂衛星システム戦略室に聞きました。

――「みちびき」が整備されると、どうなるのでしょうか?

 安定した位置測位には、その場所から最低4つの衛星が見える必要があるといわれており、GPSに頼っている現状では、山間部やビルの谷間ではGPSからの信号が届かず、測位の精度が低くなることがありました。「みちびき」によってGPSを補完することで、安定した測位が可能な地域が増えます。

測量誤差は数cm 「自動運転」「歩行ナビ」も可能に

――測位の精度もよくなるのでしょうか?

 はい。「みちびき」のシステムでは、測量誤差が数cm(センチメータ級)、1m以下(サブメータ級)、そして従来のGPSと同じ誤差10m程度と、精度に応じたみっつのサービスが提供されます。それぞれ信号の種類が違うため、サービスに応じたアンテナやソフトを搭載した機器が必要です。たとえば現在流通しているスマートフォンにも「みちびき」の信号に対応した製品がありますが、精度としては従来のGPSと同じで、「センチメータ級」や「サブメータ級」の測位はできません。

――クルマですと、カーナビの精度がよくなる以外にどういった利用が考えられますか?

 たとえば現在、センチメータ級に対応したアンテナを積んだ農業機械や建設機械で、自動運転の試験が行われています。夜間に自動運転で作業させたり、複数台を隊列走行させたりということも行われており、作業の効率化が期待されているようです。こうした技術がいずれ乗用車に応用されるかもしれません。

――現状では、トンネルや地下にいると位置情報が取得できない場合がありますが、改善されるのでしょうか?

 いいえ。この点は「みちびき」の運用が始まっても変わりません。

――「みちびき」の信号に対応した製品はどういったものでしょうか?

 お話しした通り、現状でも「みちびき」の信号に対応したスマートフォンやカーナビ、電波時計などが発売されており、内閣府の準天頂衛星システムウェブサイトにも記載されています。これら製品のうち、対応信号が「L6」となっているものがセンチメータ級に、「L1S」となっているものが「サブメータ級」の測位に対応するもので、それ以外の信号は基本的に現在のGPSに相当する精度にのみ対応しています。

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 数cm単位という高精度の位置測位によって、たとえばカーナビであれば走行中の車線まで把握できたり、位置情報をクルマどうしで交換し合うことで自動運転も可能になったり、建設機械であればブルドーザーをcm単位で制御したりといったこともできるそうです。また、横断歩道や階段の位置など道路の詳細な情報も把握でき、スマートフォンなどを利用した歩行ナビゲーションに反映できるといいます。

 内閣府準天頂衛星システム戦略室によると、今後はまず2017年度中に「みちびき」を4機体制にすることで、24時間安定した測位を可能にし、2023年度をめどに、さらに7機まで打ち上げます。これにより、日本から「みちびき」が常時最低でも4機見られるようになり、万が一GPSが利用できなくなった場合にも「みちびき」だけで位置測位サービスが提供可能になるそうです。

乗りものニュース編集部