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「売り手市場」顕著 “東京志向”企業運営に影 地元定着へ躍起/青森

7/2(日) 15:10配信

デーリー東北新聞社

 青森県内の新規高卒者の就職動向は生徒優位の「売り手市場」が続き、2017年度はさらに顕著な傾向が予想される。東京志向の高まりを背景に県外就職希望者も多く、地場産業を支える人材の確保は喫緊の課題だ。企業間の採用競争は激しさを増し、人手不足が深刻化して企業運営にも影響を及ぼしている。1日には各高校で求人情報が公開され、新規高卒者に対する求人活動がスタート。関係機関は生徒の地元定着に向けた取り組みに着手し、有効な打開策を模索する。

 青森労働局などの集計によると、県内就職を希望する新規高卒者の求人倍率は年々上昇。14年度以降は2倍を超え、16年度は17年5月末現在で2・54倍に。地域別では八戸公共職業安定所管内の求人が好調で、16年度は過去5年で最高の3・90倍に上った。

 17年4月に県内事業所を対象に調査した、来春の新規高卒者の採用見込み数は、前年比597人増の2595人に拡大。八戸職安管内では、6月1日に始まった求人票の提出は例年より動きが早く、新規の事業所が増えるなど、17年度も売り手市場は確定的な状況だ。

 八戸職安が5月18日に開いた地元企業の求人取扱説明会には、過去最多の161社が参加。会場の八戸市福祉公民館は人事担当者らであふれ返った。

 同市に本社を置く建設業の総務担当者は「近年は追加募集もしているが、うまく採用できない。業務を拡大したくても従業員が足りず、将来的な企業運営に影響が考えられる」と懸念。県南地方の小売業者は「売り手市場なので離職が早い傾向にある」と嘆く。

 福祉関係や土木・建設業をはじめ、人手不足は各業界に広がる。中でも、新規高卒者の確保に苦慮しているのが工業系の企業だ。八戸地域は製造業の工場が多数立地し、企業の採用意欲も高い半面、優秀な人材が首都圏に流れているとされる。

 県内の教育関係者は「東京五輪もあって首都圏の建設、製造業は求人が好調。地方に比べて給与が高く、東京就職を希望する生徒が増えている」と明かす。

 こうした状況を踏まえ、県教委は17、18年度の2カ年で、新規事業の「地域を支えるモノづくり・人づくりプロジェクト」を実施。工業高校と産業界の連携を強化して、生徒に地元企業について知ってもらい、県内定着や将来的なUターン就職につなげる狙いだ。

 県立八戸工業高では2年生を対象とした企業説明会や見学会を行う。三國愼治教頭は「実際に企業に触れることで認識や関心を深めてもらい、進路選択に生かしてほしい」と強調する。

 関係団体も地元企業の情報発信に乗り出した。八戸地域高度技術振興センターは昨年7月、高校2年生を対象に「ものづくり企業訪問ツアー」を初めて開催。工場や技術者の仕事を見学できる貴重な機会となり、生徒や企業に好評だった。今月26日にも企画し、県南3校の生徒が参加する。

 八戸電気工事業協同組合青年部は、昨年12月に八戸工業高で「魅力発信活動」を展開。県内で電気工事士を目指す契機にしてもらおうと、地元で働くメリットなどをアピールした。

 八戸職安の田名部泰夫所長は「若者の県外流出や早期離職を防ぐには、企業側の積極的なPRに加え、賃金や労働環境などの向上も重要課題の一つ。企業に対して協力を呼び掛けていきたい」としている。

デーリー東北新聞社