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パリバゲットの製パン職人が昼食も食べられずに働く理由

7/2(日) 16:22配信

ハンギョレ新聞

パリバゲット加盟店の製パン職人、不法派遣の疑い 本社でも加盟店でもない協力会社所属 本社「業務指示は原則的に禁止」というが パンの品質・売場管理等「細々と」指示 会長の「店鋪にケーキない」の一言に 全店鋪「生産時間繰り上げよ」の指示も イ・ジョンミ議員、不法派遣の素地が濃い 「パリバゲット、約5千名直接雇用すべき」 本社「加盟店反発で直接雇用難しい」

 香ばしいパンの香りがパン屋にたちこめる昼食時、首都圏のパリバゲット加盟店で働く20代の女性製パン職人のKさんはお昼抜きでケーキ作りの準備に入った。早朝6時に出勤しパンを800~1000個焼いた状態だが、3月からケーキ生産時間が午後1時半と30分以上繰り上げられたため、コンビニで空腹を紛らす時間も消えてしまった。早朝出勤のため朝食も抜きのKさんがお昼も食べられないまま働いている理由は何だろうか。 

 26日ハンギョレが正義党のイ・ジョンミ議員を通して入手したパリバゲット本社の管理者と加盟店の製パン職人との間で交わされたカカオトーク(SNS)の団体チャットルームの対話内容を見れば、その経緯が分かる。本社の管理者は団体チャットルームで「最近会長が店鋪を巡回してケーキが足りないと指摘した」として「本社から生クリームケーキの生産時間を早めるよう指示があった」と伝える。パリバゲットを運営するSPCの会長が店鋪に立ち寄ってケーキが陳列されていないということを指摘すると、本社が製パン職人にケーキ生産を午後1時半以前に繰り上げるよう指示したという話だ。パンはパンで生産しなければならないので、一部の店鋪では出勤時間が朝7時から6時(または6時30分)に繰り上げられた。19日ハンギョレと会ったKさんは「物量を合わせることができなかったら社長(加盟店主)にどう思われるかと気になって、そうするしかなかった。数カ月間お昼も食べられず、トイレに行く時間もないから水も飲まない職人も多い」と打ち明けた。

 団体チャットルームの内容によれば、本社の指示は非常に「ディテール」にわたっていた。パンの長さからケーキに載せる果物と装飾の配置のような品質関連の内容を始め、厨房のエアコンの掃除状態、「家庭の月」やクリスマスシーズンの売場の垂れ幕設置現況なども報告させた。SPC次元の品質評価や衛生評価が行なわれる場合「受検文答」を整理して本社に報告するのも、新製品のパンをお客さんに試食させるのも、製パン職人の仕事だ。製パン職人10年目のNさんは「細々とした指示がカカオトークを通してたくさん下りてくるが、いちいち写真を撮って報告せよという場合も多い」として「パンを作る仕事も大変なのに、本社からの指示を処理するのにかける時間と精神的ストレスは相当なものだ」と話す。

 パリバゲット本社のこのような指示は加盟店ごとに均質のパンとサービスを提供する必要があるためと見られるが、本社が労働者にこのような指示を下す権限は全くない。彼らはパリバゲットと勤労契約を結んだ労働者ではないからだ。かと言って彼らは同じ店で一日中一緒に働く加盟店主が雇った労働者でもない。Kさんや Nさんのようにパリバゲット加盟店3400カ所余りでパンを作りコーヒーを作る製パン・カフェスタッフ5470人は、協力会社所属だ。協力会社は加盟店と「請負契約」を結びパリバゲットとは「業務協定」を結んでいる。

 パリバゲットが退職した役員の中から代表取締役を選定して2~3年ずつ経営を任せ、成果を評価して再契約の可否を決めるようにしている協力会社は、労働者の勤怠事項を総合して加盟店主から受け取る「委託費」とパリバゲットから受け取る「支援金」をシードマネーにして労働者の賃金を支給する。しかしハンギョレが会ったパリバゲットの製パン職人たちは、協力会社の業務指示はほとんどないと口をそろえて言う。製パン職人3年目のTさんは「勤める加盟店を替えるとか賃金・勤怠関連の内容を除いては協力会社と話をする事はほとんどなく、本社や加盟店主の指示だけ受けて処理している」と話す。

 彼らの労働条件に関する相談を行なったイ・ジョンミ正義党議員は、このような雇用形態は「派遣勤労者保護に関する法律」の禁じている不法派遣の素地が濃いと主張する。イ・ジョンミ議員室の関係者は「直接的な業務指示だけではない。協力会社の新年の賃金引上げ内訳を協力会社ではなく本社が案内する上に、加盟店の製パン職人が休むとき支援する「支援職人」の場合、協力会社所属もいれば本社所属もいる」として「パリバゲットは製造職人に対し“直接の指揮・命令”を行なう実際の使用者、協力会社は人力派遣会社または本社の人力部署だ」と主張した。イ議員は「大企業が小さい町内のフランチャイズパン屋にも変則的な雇用を維持している」として「パリバゲットは不法な派遣人力である約5千名の製パン職人を直接雇う義務があり、違法・不当な処遇を正さなければならない」と指摘した。

 これに対しパリバゲット関係者は「派遣法上製パン業は派遣許容業種ではなく本社が製造職人を直接雇って加盟店に派遣することができないので、協力会社が加盟店と請負契約を結んでいる」としながらも「本社が直接製造職人に指示を下しはせず、ただ新製品を扱うように奨励したり食品安全性確保などを目的に連絡を取ったのに過ぎない。今後は直接疎通するような事が発生しないようにする」と釈明した。協力会社の製パン職人を直接雇用することができない理由については「パリバゲット本社が加盟店に人力を供給することは加盟店主協議会と協議しなければならない事案であり、加盟店主は自律性が侵害され本社の統制が強化されるとして反発する可能性が高い」と明らかにした。

パク・テウ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)

最終更新:7/2(日) 16:22
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