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架空請求に悪用されるコンビニの「キオスク端末」「プリカ」 その手口を解説する

7/3(月) 11:10配信

ねとらぼ

 利用した覚えのないWebサイトの利用料を請求されるなどの「架空請求」問題。一時は減少傾向にありましたが、ここ数年は再び増加傾向にあります。

【画像】架空請求のハガキの一例

 現在こうして問題となっている架空請求では、コンビニの「マルチメディアキオスク端末」や「プリペイドカード」が悪用されていることはご存じでしょうか。

 実際、こういったものは使ったことがないと、そもそもどんな仕組みなのか分かりにくいかと思います。そこで、筆者が実際に「マルチメディアキオスク端末」や「プリペイドカード」を使ってきました。そして、さらに、それらの仕組みがどのように詐欺に悪用されているのか、国民生活センターの公表資料から読み解いていきます。

●突然届く「身に覚えのない請求」――架空請求

 架空請求はハガキ以外にも、封書、電子メール、SMS(ショートメッセージサービス)、電報、急にかかってきた電話に出たら自動音声が流れたなど請求手段はさまざまです。「裁判」「訴訟」「法的措置」等の言葉で不安感をあおる文面が使われることが多いです。いずれにしても、請求名目について請求された側に「まったく覚えがない」ことが特徴です。

 実際に架空請求された場合の対応は、国民生活センターが発行しているWeb版「国民生活」の2016年4月号「架空請求に関する契約の成立と支払請求の問題」が、分かりやすいかと思います。多くの場合、無視すればいいのですが、不安な場合は消費生活センター等(電話番号188)へ相談しましょう。

●どうやって悪用されているのか――相談事例から

 実際に国民生活センターの公表資料から事例を紹介します。消費者が一体何をさせられてしまったのか、分かるでしょうか?

<事例1>

 スマートフォンにかかってきた電話に出ると「有料サイトの料金が未払いのため、法的措置を取る。民事訴訟になるので次の4つから1つを選択するように」との自動音声が流れた。「和解希望」を選択したところ、転送されて出た電話口に出た男性から「和解希望の場合は10万円支払うように」といわれ、コンビニのマルチメディアキオスク端末に、男性からいわれた何かの番号を入力して紙を出力し、レジで支払った。コンビニでもらった領収書を見ると、オークションで落札した商品代金を支払ったことになっているようだ。

<事例2>

 スマートフォンに有料サイトの料金を請求するメールが届いたので心配になり、メールを送ってきた業者に電話をした。すると業者から「約50万円の未納料金がある。今日中に払わないと裁判にする」といわれて怖くなった。そこで、業者にいわれた通りコンビニ端末で数千円のプリペイドカードを約70枚、約50万円分を買い、番号が分かるようにして業者にファクスしてしまった。支払う必要があったのだろうか。

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 普段、通販でコンビニ払いを利用したり、コンビニでプリペイドカードを買ったりすることがない人は、ピンと来ないかもしれません。

 2002年頃の架空請求が流行し始めた当初は銀行振込が多く使われていましたが、本人確認法が成立するなど対策が進んだことで新たな集金手段が出てきています。そして、現在はこのようなネット絡みの決済手段も悪用されているのです。

●「マルチメディアキオスク端末」が詐欺に悪用されている

 事例には「コンビニのマルチメディアキオスク端末に、相手からいわれた何かの番号を入力して紙を出力し、レジで支払った」とあります。これは一体何をさせられたのでしょうか。

 マルチメディアキオスク端末とは、知名度が高そうな物をあげるなら、ローソンのLoppi(ロッピー)やファミリーマートのFamiポートなどです。チケットの予約やtotoの購入などさまざまなことができるあの端末は、通販サイトの支払いにも利用できます。

 まずは、実際に通販サイトでコンビニ払いをして、通常どのように使うものなのか確認しましょう。

●通販の支払いをコンビニでしてみる

 筆者の日常の買い物を「コンビニ払い」でしてみました。

 支払いをする際に「コンビニ払い」を選択します。

 後日、メールで「支払い番号」という11桁の番号が送られてきました。

 コンビニに行き、マルチメディアキオスク端末に支払い番号を入力するなどの操作をすると、印字された紙が出てきます。

 印字された紙を持って、レジに行き、代金を支払います。

 これで通販サイトへの支払いが終了し、商品が届けばお買い物終了です。

コンビニ払いがどのように悪用されているのか?

 事例にあった「コンビニのマルチメディアキオスク端末に、相手からいわれた何かの番号を入力して紙を出力し、レジで支払った」という行動。明らかに私が買い物をして、コンビニ払いをしたときと同じことをしています。

 つまり、詐欺師が通販サイトで何かを購入し「コンビニ払い」を選択、入手した支払い番号を被害者に渡して支払いを肩代わりさせているのです。通販で購入した物は、当然詐欺師に届きます。

 通販サイトだけではなく、オークションサイト、民泊サイトなども使われています。買い手と売り手がグルになって空売りをする方法です。


1. 売り手が出品した商品を買い手が購入します(二人はグルです)。
2. 買い手は「コンビニ払い」を選びます。
3. 買い手がコンビニの「支払い番号」を入手します。
4. 被害者に「支払い番号」を渡し支払わせます。
5. 支払われたお金は売り手に渡ります。

 通常では空売りは利用規約で禁止されていますが、抜け道を見つけて悪用しているのでしょう。さらに、仮想通貨を使って購入代金の肩代わりをさせる手法も出てきているようです。

 なんにしろ、こんな支払い方法は、まっとうな事業者なら指示することはない支払い手段ですので、このやり方を指示されたら、詐欺をうたがった方がいいでしょう。また、支払ってしまった場合には、今後、同様の被害を出させないためにも、領収書に記載されている事業者へ申し出るように国民生活センターは呼びかけています。

●“サーバ型”プリペイドカードが詐欺に悪用されている

 コンビニでは「iTunesカード」「Google Playギフトカード」「Amazonギフト券」「LINE Payカード」などのいろいろな“サーバ型”プリペイドカードが売られています。買ったことがない人でも見かけたことがあるのではないでしょうか。

実際にプリペイドカードを使ってみた

 この“サーバ型”プリペイドカード。通常はどうやって使うものなのでしょうか? 実際にAmazonギフト券を買って使ってみました。

 カードの裏面に「コインで軽く削ってください」と書いてある箇所があります。ここを削ると15桁の英数字の「ID番号」(Amazonでは「ギフト券番号」と呼称)が出てきます。

 カードに書いてある「ID番号」をAmazonの登録画面から登録すれば、サイト内マネーとして利用できるようになります。登録のURLはカードに書いてありました。

 カードに書かれている「ID番号」は、一度サイトに登録すると使えなくなります。

 こういったプリペイドカードは商品券のようにプレゼントとして利用したり、クレジットカードをサイトに登録したくない人に重宝されています。

●詐欺師はどのように悪用しているのか

 事例には「プリペイドカード70枚分の番号をファクスした」とありました。そうです。ファクスした番号は「ID番号」だったんです。「ID番号」が入手できれば、カードを買った本人でなくても自分のお金のように利用できます。

 実際、業者がID番号を受け取った後、自分でサイトに登録しているか、転売しているのかなどの流れは不明ですが、銀行振込より足がつきにくい手段として利用されているようです。

 国民生活センターでは、「業者がプリペイドカードを購入するよう指示する場合、その業者は詐欺業者である可能性が高い」と注意を呼びかけています。

 また、通販サイトやオークションサイトで「ID番号」だけ購入することもできます。例えば、通販サイト上で決済が完了すると画面上に「ID番号」が表示されます(もしくはメール等で伝えられます)。カード本体が送られてくることはありません。サイトで何かの番号らしきものを購入するよう指示され、その番号を伝えるようにといわれたら、詐欺を疑いましょう。

 さらに、このプリペイドカードは「マルチメディアキオスク端末」から購入することもできます。マルチメディアキオスク端末で「○○プリペイドカードを○○○○円分購入する」という操作をすると端末から印字された紙が出てきます。その紙をレジに持って行き代金を支払えば、例えば領収書にID番号が印字されるなどでID番号を受け取れます。相談事例ではその操作を指示されていることが推測されます。

 最近では、ショッピングサイトで支払いを行う際に画面上で注意喚起がなされたり、コンビニ店頭での声がけなど業界でも被害防止の取り組みはなされているようですが、完全に防ぐことはできていません。身の回りに、こういった新しい決済方法に苦手意識がある方がいらしたら、こういうこともあるんだよと教えてあげてください。

最終更新:7/3(月) 11:10
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