ここから本文です

穴場だと思う街はどっち? 北千住VS. 赤羽

7/3(月) 8:28配信

ITmedia ビジネスオンライン

 東京23区内では家賃が比較的安いことも共通している。住宅情報サイト「スーモ」の「穴場だと思う街(駅)ランキング」(2017年版)で北千住は1位、赤羽が2位となっている。どちらの街も「物価が安い」ことや「商店街が充実している」ことが理由としてありそうだ。お店の選択肢の多さなどでも共通している。

【赤羽駅の駅前、多くの人でにぎわっている】

 そんな2つの駅は、鉄道網の上でもライバル関係にある。

●北千住駅と赤羽駅から人はどこへ向かうのか

 北千住駅と赤羽駅は、都心へ向かう交通の要衝である。北千住駅には、都心へ向かう路線としては東京メトロ千代田線、JR常磐線、つくばエクスプレス、東京メトロ日比谷線、東武スカイツリーラインがある。それぞれの路線が、都心部へダイレクトにアクセスしている。大手町、上野、東京、秋葉原、霞ケ関、六本木、神保町……。

 例えば霞ケ関駅へは、千代田線と日比谷線でアクセス可能だ。大手町駅には、千代田線と半蔵門線でアクセス可能である。どこかの路線で大幅に遅延しても、別の路線で目的地にたどり着くことができる。通勤や通学の面で安心だ。そういった都心各方面へのアクセスのよさは、北千住駅の最大の強みである。

 そのため乗降人員数も多い。JRと私鉄、あわせて約124万人(2015年度、ただし日比谷線の北千住駅は東武スカイツリーラインの利用者も含まれるため、今回合計の乗降人員数からは除く)が、北千住駅を利用している。都心部へ乗り換えすることなくダイレクトにアクセスできる点が、北千住駅を繁栄させている。

 一方、赤羽駅には、JRの京浜東北線、上野東京ライン、湘南新宿ライン、埼京線、高崎線が乗り入れている。このことにより、山手線上にあるすべてのターミナル駅に乗り入れることができ、そこから都心へのアクセスが可能だ。北千住駅からはダイレクトにアクセスすることが困難な、新宿駅にも直結している。

 しかし、私鉄は乗り入れていないため、ターミナル駅より先の都心へ向かう際には乗り換えが必要だ。

 赤羽駅の乗降人員は、約18万人(2015年度)。北千住よりはだいぶ少ない。立地としては東京メトロ南北線の志茂駅、都営三田線の本蓮沼駅に挟まれているが、両駅は赤羽駅からはかなり距離があるため、乗り換え駅としては利用することが難しい。利便性としては、JRのみならず私鉄も多く乗り入れている点を考慮すると、北千住に軍配が上がる。

●商業施設の充実度はどちらに軍配が?

 北千住駅は、ターミナル駅となっているためか、駅にはルミネ、駅前にはマルイなど、知名度の高いファッションビルが2店舗ある。服や小物などを買うのにはいい場所だ。

 日常の買い物をするスーパーマーケットについては、大資本のスーパーはないものの、マルイには食料品売場があり、ルミネには高級スーパー・成城石井がある。そのほか、地元に長年親しまれてきたスーパーが軒をつらねており、また地域の商店街が充実しているので、比較的安く食材を買うことができる。都心へダイレクトにアクセスできるが、北千住駅だけで日々の買い物を済ませることが可能だ。

 一方、赤羽駅は拠点駅でありながら、駅周辺には百貨店、知名度のあるファッションビルがない。その代わり、エキナカにはエキュート赤羽や、UR都市機構グループのアピレ赤羽、ビビオなどがある。

 駅周辺のスーパーについては、大手のスーパーが複数ある。イオン系のダイエー、西友、そしてイトーヨーカドー。赤羽駅のイトーヨーカドーはかなり大きな店舗であり、品ぞろえは充実している。ダイエーや西友が食品メインで店舗の規模が小さいのに対し、イトーヨーカドーは堂々たる総合スーパーの品ぞろえで、地上6階地下1階と巨大である。それに加えて、こちらも商店街が充実している。

 北千住駅が百貨店やショッピングビルがあるのに対し、大きな総合スーパーはない。以前はあったものの、撤退してしまった。逆に、赤羽駅には知名度の高いショッピングビルはない。埼京線で池袋駅や新宿駅に出れば、十分こと足りるからだろう。このあたりは、赤羽駅は鉄道路線網で補完していると言える。

 日常的な「買い物」という点では、大半の人が服や小物などを買うよりも、日用品を買う機会が多いと考えることができるので、こちらは赤羽駅が充実していると言えそうだ。

●目的地の北千住、通過駅の赤羽

 北千住駅と赤羽駅では、暮らしやすさの面ではあまり変わらない。1Kの家賃相場を見てみると、北千住駅が7.18万円、赤羽駅が7.47万円と、ほぼ互角であった(2017年6月、ホームズ調べ)。

 治安面から見てみると刑法犯認知件数は足立区が6937件に対し、北区は3377件なので、北区のほうが治安がいいとも言える(平成27年、警視庁HPより)。しかし、乗降人員数は圧倒的に北千住駅のほうが上であり、複数の路線が乗り入れている点から、暮らしの面では北千住駅に軍配が上がった。

 一方、商業施設の充実ぶりは、それぞれに違いはあるものの、日々の生活面を優先すると、赤羽に軍配が上がる。

 次に駅の立地を見てみる。北千住駅は、以降の北側に大きな街が少ない、という点が最大の特徴だ。東武スカイツリーラインは、北側に北千住以上に発展した街はなく、常磐線に松戸と柏があるだけである。となると、商業地として目立つ街が南側の上野くらいしかなく、その上野も、上野東京ラインの開通などで年々利用者が減少している現状を考えると、北千住は今後、さらに人を引き寄せる可能性がある。

 上野駅にいたっては、乗降人員は約61万人(2015年度)と、北千住駅よりも少ないのである。これは相対的に少ない数字ではないのだが、上野駅はアメ横や上野松坂屋など、歴史ある商業地があり、上野動物園や美術館などの観光地を有しているものの、都心ターミナル駅や大宮駅ほどの乗降人員数はないのだ。

 一方、赤羽駅の場合、北側には川口、浦和、大宮と大規模な駅と街が多くひかえる。川口にはそごう、浦和には2007年にパルコが開店し、大宮にはマルイ、ルミネ、そごう、タカシマヤといった、有名どころの百貨店、ファッションビルが集結しており、大宮駅の乗降人員数は約63万人(2015年度)と、埼玉随一を誇る。

 赤羽駅は、東京都と埼玉県の県境にあるため、埼玉県の主要駅も近くにある。そして、池袋駅まで8分、大宮まで15分というアクセスの良さも、人が流れていく一因となっているだろう。百貨店や知名度のあるファッションビルがない赤羽駅は、どうしても通過駅となってしまいがちで、埼玉側と東京側の両方に人が流れてしまう。

 そういった面から考えると、両側に大規模な街がなく、街自体が充実している北千住駅は、通過駅でなく目的地として認識される。JRだけで比較しても2010年度の乗降人員数は約19万人と、2015年度と比較すると、約2万人増加となる。その数は年々増え続けているという点も考慮すると、今後さらに発展し、乗降人員数は増加していくことが見込まれる。

 北千住の繁栄は今後も続きそうだが、その分、穴場ではなくメジャーに、割安というよりはそれ相応になり、「穴場感」「割安感」は薄まっていくのかもしれない。

(小林拓矢)